老朽化によって建替・移転等が検討されていた大阪市こども相談センター(児童相談所)につき、平成36年度にもと浪速青少年会館跡地(浪速区浪速東1)へ移転する計画が内定しました。

大阪市が中央児相の移転決定

 大阪市は23日、虐待を受けるなどした子供の支援環境を改善するため、同市中央区の児童相談所「市こども相談センター」を平成36年度に浪速区の元浪速青少年会館の跡地に移転することを決めた。市役所で開いた吉村洋文市長ら幹部による戦略会議で方針を確認した。

 同センターには虐待を受けた子供らを親から引き離して保護する「一時保護所」があるが、23年の法改正前の基準で造られているため手狭で、部屋の定員や1人当たりの面積が現在の国の基準を満たさない状況が続いている。

 この日の会議では、担当者が現在の場所での建て替えには、埋蔵文化財の調査に時間がかかることなどを説明。交通アクセスの利便性や必要な床面積が確保できることなどから、元浪速青少年会館の跡地が適しているとした。吉村市長は「小学校が隣接しており、保護者や地域の理解を得ていくための説明を丁寧にやってほしい」と話した。

 大阪市内の児相は、児童虐待の相談件数の急増などを受け、同センターに加えて、28年に南部こども相談センター(平野区)を新設。3カ所目となる北部こども相談センター(東淀川区)も33年4月の開設を予定している。

https://www.sankei.com/politics/news/190124/plt1901240007-n1.html

大阪市こども相談センターは中央区森ノ宮にあります。周囲は落ち着いた住宅街とビジネス街が、目の前には大きな公園があり、交通利便性も非常に良い場所です。一等地と呼べる場所です。

同センターは児童相談所としての機能の他、教育委員会が所管する特別支援教育に関する相談業務も行っています(教育相談部門)。

一方、平成30年7月に厚生労働省から「一時保護ガイドライン」が発せられました。ここでは個室対応・ユニットケア・家庭使用の整備・開放型一時保護所の整備が求められています。

これに対し、現施設では対応できないのが明白でした。もともとは昭和47年に市立労働会館として建設された施設です。平成22年に改修して利用し始めました。

建物の老朽化に加え、再改修しても個室等を設置するのは難しい状況でした。過大な費用が発生するとも見込まれます。

そこで大阪市はこども相談センターの移転建替に着手し、関連費用等を平成31年度予算で要求しました(詳細は資料の10ページ以降)

移転先近くには府立難波支援学校・府立なにわ高等支援学校も

未利用の市有地を検討した結果、浪速区浪速東1の「もと浪速青少年会館」跡地への移転が内定しました。

もと会館の建物は大阪市立栄小学校が利用しています。こども相談センターは利用されていない旧グラウンド部分(跡地東部)に移転するのでしょう。

ここは府道25号線・府道41号線(なにわ筋)・JR環状線・JR関西本線に囲まれた一角です。北部・東部は古い一戸建てやマンションが、南部や西部は市営住宅が建ち並んでいます。

最寄駅はJR環状線芦原橋駅(徒歩3分)、他にはJR今宮駅(徒歩5分)や地下鉄大国町駅(徒歩10分)も利用できます。電車及び自動車、双方でアクセスしやすい場所です。

移転に際しては、もと栄小学校(約4万平方メートル!)を利用している府立難波支援学校府立なにわ高等支援学校の存在も重視されたのでしょう。

大阪市内に数校あった特別支援学校につき、平成28年に大阪市から大阪府へと所管換えが行われました。とは言え、大阪市内の特別支援教育は市立小中学校と各府立特別支援学校が連携して行っているそうです。

特別支援教育に関する相談部門を有するこども相談センターと府立特別支援学校が近隣地にあれば、特別支援教育が円滑に進むと期待できます。

建替移転により、大阪市は3児童相談所(浪速区・平野区・東淀川区)体制となります。子育てするのが難しい家庭の支援、虐待の恐れがある児童の保護、特別支援教育の充実が質量共に図られるでしょう。