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(2023/1/24追記)
更に9校前後の募集停止が予定されています。少子化に加え、私立高校授業料無償化が公立志願者減に拍車を掛けています。

大阪府立高校は2027年度末までに9校程度が募集停止に、背景に私立高校授業料無償化が?


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当ウェブサイトは保育所等を中心とし、認可外保育施設・幼稚園・小学校等も扱っています。高等学校に関する話題は取り上げていません。

しかしながら、大阪府立・大阪市立高等学校に関して、「更なる募集停止(廃校・統合)・移管」という重要な方向性が決定されました。例外的に取り上げます。

3年連続で定員割れ統廃合…勝山高と桃谷高の一部で新設校 大阪府教委、府市立8校も募集停止

大阪府教育委員会は30日の教育委員会議で、定員割れが続いて再編整備の対象となっていた勝山高(大阪市生野区)と、施設の収容能力上の課題から募集定員を拡充できなかった桃谷高(同)の多部制単位制I部・II部を統合する方針を固めた。新設校は勝山高の校舎を使用し、平成32(2020)年度に開校予定。今年11月の会議で最終決定される見通し。

松井一郎知事が橋下徹前知事から継承した教育改革の一環として、3年連続で定員割れし、改善の見込みがない高校を再編整備の対象にすると定めた府立学校条例などに基づく措置。

勝山高は28年度以降3年連続で定員割れ。生徒の主な居住地は同市生野区や平野区だが、この地域の中学卒業者数は今後減少する見通し。志願者数の改善が見込めないと判断された。

一連の教育改革では、同条例や現行の再編整備計画(26~30年度)に基づいてこれまでに8校の募集停止が決定。池田北高と咲洲高はすでに閉校し、西淀川高と大正高が募集停止中。柏原東高と長野北高は来春の入試から募集を停止し、大阪市立西高と南高の募集停止も決まっている。

https://www.sankei.com/west/news/180830/wst1808300051-n1.html より一部引用

新たに大阪府立市立高8校再編へ

大阪府教育委員会は、来年度からの5年間で、大阪・生野区の勝山高校など新たに大阪府立と大阪市立の高校あわせて8校で、生徒の募集を停止することなどを盛り込んだ再編計画案を了承しました。

少子化などの影響で、中学校を卒業する生徒が減少していることを受け、大阪府教育委員会は、平成26年から検討を進め、これまでに大阪府立と大阪市立の8つの高校で生徒の募集を停止することを決めていました。

さらに30日、開かれた教育委員会の会議で、来年度からの5年間で、新たに8校の募集停止などを盛り込んだ再編計画案が了承されました。
この中では、▼大阪・生野区の勝山高校は再来年度(2020年度)に入学する生徒の募集を停止するほか、▼それ以外の7校については、今後、大阪府と大阪市の教育委員会が検討を進めるとしています。

大阪府と大阪市の教育委員会は、ことし11月に会議を開き、再編計画案を正式に決定することにしています。

一方、大阪市の吉村市長は、30日の記者会見で、市立高校の運営について、「生徒の利益や教員の人事など、教育的な観点から見れば、市立高校は大阪府で運営するのが理想だ」と述べ、市立高校を府へ移管するための協議を進める考えを示しました。

https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20180830/0006229.html

複数の話が同時に進行しています。(1)大阪府立・大阪市立高校の内、8高校を募集停止(決定済)、(2)新たに8高校で募集停止(勝山高校を含む)、(3)大阪市立高校を大阪府へ移管、です。

大阪府立・大阪市立高校の内、8高校を募集停止(決定済)

8高校の募集停止・再編が既に決定しており、進行中です。「大阪府立高等学校・大阪市立高等学校再編整備計画」に関すること(大阪府ウェブサイト)より作成しました。

再編対象手法入学者募集停止時期
池田北高校閉校平成28年度
咲洲高校閉校
西淀川高校統合(現北淀高校校地)平成29年度
北淀高校平成30年度
大正高校統合(現泉尾高校校地)
泉尾高校
能勢高校豊中高校の分校とする
柏原東高校八尾翠翔高校へ統合平成31年度
長野北高校長野高校へ統合平成31年度
大阪市立西高校統合(現扇町総合高等学校校地)平成34年度
大阪市立南高校
大阪市立扇町総合高等学校

新たに8高校で募集停止へ(勝山高校を含む)

これに加えて、更に8高校の募集停止を検討しています。内1校は勝山高校です。

再編対象手法入学者募集停止時期
勝山高校閉校(校地は桃谷高校が使用)平成32年度

再編整備計画によると、学校の特色・地域の特性・志願状況等に基づいて精査するとしています。

また、大阪府立学校条例は「入学を志願する者の数が三年連続して定員に満たない高等学校で、その後も改善する見込みがないと認められるものは、再編整備の対象とする」としています。

参考として、平成30年度公立高等学校入学状況概要で競争率(入試倍率)が1倍を下回った高校・学科を掲載します。

高校名代表的な学科募集人員志願者競争率
勝山高校※普通2401280.53
島本高校普通2402260.94
八尾翠翔高校※普通2401900.79
柏原東高校※普通146970.66
懐風館高校普通2402230.93
長野北高校※普通2001820.91
福泉高校普通2402140.89
大阪市立住吉商業高校商業2402250.94
大阪市立鶴見商業高校商業2402370.99
淀川工科高校機械・電気・メカトロニクス2803100.97
今宮工科高校機械・電気・建築・グラフィックデザイン2402750.98
茨木工科高校機械・電気・環境化学システム2002310.96
布施工科高校機械・電気・建築設備2802550.91
藤井寺工科高校機械・電気・メカトロニクス2802660.95
大阪市立都島工業高校機械・機械電気4003840.96
大阪市立生野工業高校機械2401330.55
大阪市立泉尾工業高校機械2001420.71
大阪市立東淀工業高校機械工学2001410.71
枚岡樟風高校総合学2402290.95
松原高校総合学2802710.97
成美高校総合学2292110.92
※募集停止・他校との統合が決定済

大阪市立高校を大阪府へ移管

大阪都構想の一環として以前から予期していました。

数年前には大阪市立特別支援学校を大阪府へ移管しました。同時に全ての市立高校の移管も検討していましたが、見送られていました。

 松井一郎大阪府知事は21日、大阪市立の特別支援学校全10校と、枚方市にある大阪市立高校を来年4月に市から府に移管することで橋下徹大阪市長と合意したと明らかにした。早ければ来月にも府市の両議会に関連条例案を提出する。市内所在のほかの市立高は移管の対象外。

松井知事は府移管について同日、記者団に「(従来は)市に甘えてきたが、支援学校の維持・管理義務は府にある」と説明。枚方市にある市立高についても「義務ではないが、府でやる方がいい」と述べた。

二重行政解消をめざす府市統合本部は当初、全市立高校の府移管を検討したが、市議会などの反発もあり協議を続けていた。

https://www.nikkei.com/article/DGXNASHC21026_R20C14A1AC8000/

しかし、平成30年8月2日の市長会見では移管に否定的な発言がありました。

現在、既に市立の高校がありますけども、その市立の高校をですね、中高一貫に変えて、そして、もちろん、そのままその高校に進学したいという子どもは当然進学できるという体制にしつつ、一方で、中学3年生になった時に受験して、より学力の高い学校に進学できる体制というのを整えたいと思っています。

http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000431751.html

会見が行われたのは学力テストの結果が公表された2日後でした。

テスト結果の教員評価への活用等も含んだ会見内容について、慎重な検討が行われた形跡もありません。市立高校の移管話は抜け落ちてしまっていたのかもしれません。

大阪市立高校を大阪府へ移管した場合、市立中学校+府立高校という中高一貫校は非常に難しくなります。ただし、来春開校予定の公設民営学校「水都国際中学・高校」は別の取扱いを行う予定だそうです。

一方、市立高校で特色有る実績を上げている自治体もあります。代表例は京都市立堀川高校です。

SGH(スーパーグローバルハイスクール)やSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定され、探求科が設置されました。

こうした事により、平成30年度は京都大学へ46人の合格者を輩出しています。北野高校や天王寺高校に並ぶ結果ですね。

大阪府へ移管される市立高校もあれば、移管されずに統廃合される市立高校もあるでしょう。

なお、大阪市立西高校の跡地には堀江中学校が移転、そして堀江小学校の地域分校が設置される予定です。また、南高校の跡地は近隣の小学校の第2校地としての活用が取りざたされています。

大阪市内の児童急増問題とも密接に絡んでいます。

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(2019/9/2追記)

全ての大阪市立高校が大阪府へ移管する事が合意されました。

大阪市立高校、22年すべて府立に 都構想にらみ先行

 大阪府と大阪市が、すべての大阪市立高校(21校)を2022年4月に府へ移管することで基本合意した。都構想の実現をにらみ、先行して協議が進んでいた。来年夏までに、府市のプロジェクトチームが詳細な移管計画をまとめ、双方の議会に関連条例の改正案を諮る。

 市立高校の府への移管は11年、橋下徹市長(当時)が表明。通学範囲の広い高校教育については広域行政が担うという方針のもと、財政面などの課題が検討されてきた。16年には市立特別支援学校12校が府に移管されている。

 府市の案によると、高校の用地や校舎などの資産は市が府へ無償譲渡。学校名は府市で協議し、最終的に府が決めるという。(以下省略)

https://digital.asahi.com/articles/ASM8Y6HZRM8YPTIL02D.html