平成28年4月に認可外保育施設「たんぽぽの国(大阪市淀川区)」で発生した男児死亡事故につき、遺族が運営会社・大阪市を提訴します。

※関連投稿は「タグ:たんぽぽの国」からご覧下さい。

——–
(3/17追記)
亡くなった男児の両親と運営会社の間で和解が成立しました。

 大阪市淀川区の認可外保育園「たんぽぽの国」(閉園)で2016年、うつぶせで寝ていて死亡した男児の両親が、運営会社などに計約8700万円の賠償を求めた訴訟は17日、大阪地裁で和解が成立した。会社側が解決金5000万円を支払う内容で、同社役員らは両親に謝罪した。

 訴状によると、浅野響翔(ひびと)ちゃん(当時1歳)は入園初日の16年4月4日午後、うつぶせで昼寝中に呼吸していないのを保育士が発見。搬送先の病院で死亡が確認された。司法解剖の結果、死因は吐いた物が喉に詰まったことによる窒息死だった。

 両親は、保育士らが響翔ちゃんを1人で寝かせたまま体勢や呼吸を確認していなかったと主張。異変に気付いてからも適切な救命措置を取らずに「重大な注意義務違反があった」として18年4月に提訴した。会社側は「うつぶせ寝自体は危険ではなく、注意していたので過失はない」などと争っていた。

 両親は施設への監督・指導を怠ったとして大阪市にも賠償を求めていたが、市が事前通告なしに施設に立ち入る制度を導入するなど、再発防止策に努めることで19年12月に和解した。

https://mainichi.jp/articles/20210317/k00/00m/040/066000c

テレビニュースは「保育士が監視を怠ったのが死亡へ繋がった」「運営会社の役員等が男児の遺骨の前で謝罪した」と報じていました。記者会見では母親が遺骨を前にコメントしていました。

——–

 おととし、大阪の認可外保育施設で当時1歳2か月の男の子がうつ伏せで寝ていて窒息死しました。両親が来月初めにも、施設の運営会社などを相手に損害賠償を求める裁判を起こすことがわかりました。

大阪市淀川区の浅野響翔ちゃんはおととし4月、認可外保育施設「たんぽぽの国」に通い始めた日にうつ伏せで昼寝中、心肺停止の状態で発見されその後、死亡しました。食べたものを吐いて、のどに詰まらせたことによる窒息死でした。

「響翔に対しては預けてしまってごめんという気持ちしかなくて、あのときに預けなければ生きていた命ですし」(母・美奈さん 34歳)

元施設長らは業務上過失致死容疑で書類送検されましたが、大阪地検が嫌疑不十分で不起訴処分としました。一方で大阪市は第三者委員会を設置し、約1年間にわたり事故を検証した結果、保育士が異変に気づいてから救急車を呼ぶまでに20分以上経っていたことや、睡眠チェックの方法などに問題があったと指摘しました。

両親によりますと、その後も施設側からは謝罪はなく、法的責任を否定した上でお見舞金300万円の支払いを提案してきたということです。両親は「死亡事故を防止するための意識が著しく低く、ずさんな保育だった」として、来月初めにも施設の運営会社と大阪市などに損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こすことを決めました。

「保育という部分の仕事の責任というのを彼らがしっかりと自覚をしてほしい。責任に対しての償いをしてほしい」(父・誠さん 34歳)

一方、施設側はMBSの取材に対し「亡くなった事実については謝罪の気持ちはあるが、今後裁判になるのであれば、どこまで過失があったのか明らかにされるものと考えている」とコメントしています。

http://www.mbs.jp/news/kansai/20180322/00000055.shtml

提訴したのは4月4日、2年前に亡くなった日です。

認可外保育施設で死亡 両親提訴

おととし、大阪・淀川区の認可外の保育施設で、昼寝をしていた1歳の男の子が死亡した事故で、両親が、施設側や施設の指導・監督を行う大阪市に対し、安全管理が不十分だったとして、あわせておよそ8600万円の損害賠償を求める訴えを大阪地方裁判所に起こしました。

訴えを起こしたのは、おととし4月、大阪・淀川区の認可外保育施設「たんぽぽの国」で、1歳2か月で亡くなった浅野響翔くんの両親です。

訴状によりますと、当時、響翔くんは昼寝をしていて、うつぶせで寝ていたにもかかわらず、施設側の保育士ら2人は放置したまま呼吸をしているかどうかの確認をせず、施設を指導・監督する大阪市も指導を怠り、安全管理が不十分だったとしてあわせておよそ8600万円の損害賠償を求めています。

提訴のあと会見した父親の浅野誠さん(34)は、事故が起きた日に合わせて提訴したと説明したうえで、「待ち望んで生まれた子どもで笑ってばかりいる明るい子どもだった。話し合いの場では施設側から謝罪もなく、裁判ではずさんな保育だったことを明らかにして謝罪してほしい」と話していました。

母親の美奈さん(34)は「大阪市は待機児童対策として規制緩和を進め保育所を増やしているが、安全に子どもを預けられるよう対策を進めてほしい」と話していました。

保育施設を運営していた「ベルサンテスタッフ」は、「事故で亡くなったことについては大変申し訳なく思っている。訴状が届いていないので具体的なコメントは控えたい」としています。

大阪市は、「現時点では訴状が届いていないのでコメントは差し控えますが、市内でこのような事故が起こったことは非常に残念に思います。事故については、第三者委員会からの検証・提言を受けて再発防止策を実施しています」とコメントしています。
http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20180404/3418031.html

報道で指摘されているとおり、同事故に対して大阪市が第三者委員会を設置しました。報告書で運営会社・大阪市の問題点等を指摘しています。

涙無しには読めない「たんぽぽの国保育事故調査報告書」

提訴した一因には、運営会社の対応にまずさがあった様子です。施設からの謝罪が無い、法的責任を否定、300万円の見舞金の支払いのみを提示されたら、誰だって怒るでしょう。私も怒ります。

法的責任の有無は分かりません。しかし、大切な子供を保育施設へ預けた結果、保育施設で死亡に到ったのは動かせない事実です。少なくとも、道義的な責任はあるでしょう。

保育所やこども園等での事故であれば、日本スポーツ振興センター(JSC)の災害共済給付制度が適用されます。この制度は「過失の有無を問わず、児童が補償を受けられる」というものです。

しかし、認可外保育施設(企業主導型保育を除く)は対象外とされています。運営会社からの提示額は低い金額に抑えられがちで、法的責任を逃れる姿勢も顕著です。結果、民事訴訟を起こさざるを得ない流れとなっています。

裁判の行方が注目されます。