昨年10月時点での大阪府内の待機児童数が発表されました。大阪市が急増したと報じられましたが、実際には少し減少しています。
大阪府内で、保育所の空きを待つ「待機児童」の数が去年10月の時点で3900人あまりと前の年の同じ時期に比べて800人近く増えていたことがわかりました。
大阪府によりますと、保育所の空きを待つ「待機児童」の数は、去年10月1日の時点で、府内29の市と町であわせて3922人で、前の年の同じ時期と比べて796人多くなっています。
自治体別では、もっとも多いのは▽大阪市で1335人、次いで▽堺市で461人、▽吹田市で311人▽茨木市で222人などとなっています。特に大阪市ではおよそ2.6倍の増加です。
これについて、大阪府は、大阪市の中心部でマンションの建設が相次ぎ、転入してくる子育て世代が増えていることなどが背景にあるとみています。
大阪府は、「府営住宅の空き部屋を活用して保育所を増やしたり、市町村と連携しながら保育士の確保を進めたりして、待機児童の解消を急ぎたい」としています。
詳細な数字は、大阪府ウェブサイトに掲載されています。
保育所等利用待機児童数等の状況(平成29年10月1日現在)について
http://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=30255
NHKニュースでは、「特に大阪市ではおよそ2.6倍の増加です。」と強調されています。しかし、大阪市は保育施設を非常に積極的に新設し続けていて、肌感覚と異なる数字でした。
昨年10月1日時点での待機児童数につき、大阪市は詳細な内容を発表しています。
大阪市の保育所等利用待機児童数について(平成29年10月1日現在)
大阪市における平成29年10月1日現在の保育所等利用待機児童数は、厚生労働省が新たに定めた基準により集計した結果、本年4月1日に比べて1,010人増加、昨年の同時期に比べて827人増加し、1,335人となりました。
なお昨年度までの基準で集計した場合は、本年4月1日に比べて108人増加、昨年の同時期に比べて75人減少し、433人となりました。利用保留児童数については、昨年の同時期より38人減少し、5,294人となりました。
「昨年までの基準」という部分を強調してみました。大阪市は平成29年度から待機児童の定義を広げており(新基準)、平成28年度までの数字(旧基準)とそのまま比較できません。
同じ基準(旧基準)で比較した場合、大阪市内の待機児童数は昨年同時期より75人減少し、433人となっています。また、申し込んだが入所できていない全ての児童を対象とする「利用保留児童数」は、同時期より38人減少して5,294人となっています。
つまり、大阪市内の待機児童数は2.6倍へ急増したのではなく、若干ながら減少しているのが事実です。
大阪市以外の各市町村の数字も掲載します。
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(3/12更新)
コメント欄より「数字がずれているようです」という指摘を頂きました(ありがとうございます)。
私は大阪府ウェブサイトで公開されている「過去の待機児童数の状況・待機児童数の推移(H22-29各10月)」を利用しました。
しかし、この表では豊中市・高槻市・東大阪市・枚方市の順序が他ファイルと違っており、平成29年分の欄は4市の数字が入れ違って記載されていました。
改めて他のファイルを参照して正しい数字を公開し、文中の説明書きを修正します。
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保育所等利用待機児童数の推移(各年10月1日現在) | |||
市町村名 | 平成28年 10月1日現在 | 平成29年 10月1日現在 | 増減 |
大阪市 | 508 | 1,335 | 827 |
堺市 | 279 | 461 | 182 |
豊中市 | 382 | 198 | -184 |
高槻市 | 0 | 14 | 14 |
枚方市 | 87 | 143 | 56 |
東大阪市 | 258 | 124 | -134 |
岸和田市 | 25 | 33 | 8 |
池田市 | 0 | 0 | 0 |
吹田市 | 168 | 311 | 143 |
泉大津市 | 17 | 7 | -10 |
貝塚市 | 27 | 21 | -6 |
守口市 | 20 | 81 | 61 |
茨木市 | 363 | 222 | -141 |
八尾市 | 97 | 102 | 5 |
泉佐野市 | 0 | 0 | 0 |
富田林市 | 15 | 40 | 25 |
寝屋川市 | 44 | 0 | -44 |
河内長野市 | 7 | 31 | 24 |
松原市 | 37 | 0 | -37 |
大東市 | 45 | 27 | -18 |
和泉市 | 63 | 90 | 27 |
箕面市 | 120 | 121 | 1 |
柏原市 | 34 | 67 | 33 |
羽曳野市 | 57 | 70 | 13 |
門真市 | 183 | 135 | -48 |
摂津市 | 107 | 94 | -13 |
高石市 | 0 | 0 | 0 |
藤井寺市 | 13 | 11 | -2 |
泉南市 | 0 | 0 | 0 |
四條畷市 | 8 | 3 | -5 |
交野市 | 63 | 33 | -30 |
大阪狭山市 | 17 | 62 | 45 |
阪南市 | 21 | 24 | 3 |
島本町 | 56 | 54 | -2 |
豊能町 | 0 | 0 | 0 |
能勢町 | 0 | 0 | 0 |
忠岡町 | 5 | 8 | 3 |
熊取町 | 0 | 0 | 0 |
田尻町 | 0 | 0 | 0 |
岬町 | 0 | 0 | 0 |
太子町 | 0 | 0 | 0 |
河南町 | 0 | 0 | 0 |
千早赤阪村 | 0 | 0 | 0 |
計 | 3,126 | 3,922 | 796 |
東大阪市・豊中市・茨木市といった、大阪市内へ通勤しやすい自治体の待機児童数が大きく減少しています。反面、地理的状況が似ている堺市・枚方市・吹田市は増加しています。
あくまで推測となりますが、待機児童解消へ向けた自治体毎の取組の差が、数字となって現れたのではないでしょうか。
また、保育料無償化を打ち出した守口市は、20人から81人へと急増しています。もしも待機児童が増え続けてしまうと、入所できない児童・家庭からの不公平感が増してしまうでしょう。
表でまとめられている「保育所等利用待機児童数の推移(各年10月1日現在)」なのですが、高槻市から下が全て数字がずれているようです。高槻市は198人ではなく14人で、東大阪市は14人ではなく124人だったりで、全体的に数字がずれてしまっています。大阪府発表の表ともう一度整合して頂く方が良いと思います。
コメントありがとうございます。
大阪府が発表している資料に誤り(市町村の表示がずれている)がある様子です。
どれが正しい数字か精査します。