昨日行われた大阪市長会見では、教育・保育に関する発表や質疑が相次ぎました。重要な事柄もあるので、コンパクトにまとめてお伝えします。

平成29年9月28日の市長会見
http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000394795.html
中継動画

【森友保育園へ補助金等を支払請求】
高等森友学園保育園(休園中)を経営する社会福祉法人肇國舎に対し、大阪市は約6,158万円の支払いを請求したそうです。内訳は派遣した保育士人件費・不正受給した補助金・遅延損害金等です。期日は10月末です。

【同一経営者が保育所・幼稚園を運営する法人への監査強化】
塚本幼稚園・森友保育園での不正受給の温床となったのは「保育所・幼稚園の職員兼任」でした。

同一人物が保育所・幼稚園を兼営する場合、同じ職員が双方の管理職・一般職員等を兼任し、それぞれの補助金を不正に受給していました。構造的に不正受給を誘発しやすい経営形態と言えるでしょう。

【職員勤務実態の監査強化】
これと合わせて、全ての運営法人に対しても職員勤務実態を重点的に調査するそうです。抜き打ち監査も行う方針です。

具体的には源泉徴収票をもれなく確認する予定です。しかし、源泉徴収票は容易に変造でき、大阪市以外の自治体への提出分を反面調査するのは大変でしょう。私見となりますが、私学共済や雇用保険への加入状況等も重点的に確認されるかもしれません。

なお、これらの監査強化に先立ち、大阪市長は「まずは法人による自己点検を行って欲しい」と話していました。自主的な申出と監査による発覚で何らかの差を付けるのでしょうか。

【指導監査結果の全公表】
結果として差が付けられる可能性が高いのは「指導監査結果」です。

大阪市は平成31年度から全ての指導監査結果を公表する予定だそうです。現在は認可外保育施設への監査結果や重大事故等が発生した場合の調査報告書を公表しています。

監査内容は保育所等選びの重要な指針となるでしょ。保育見学と合わせて、欠かせない材料となります。

【保育士宿舎借上事業の強化】

報道発表資料 保育士宿舎借り上げ支援事業の対象者要件を拡充します
http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kodomo/0000412647.html

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待機児童問題解消の為、市内の民間保育所等が新規に採用した常勤保育士に対して雇用主が宿舎を借り上げた場合、国と大阪市が合わせて月額82,000円までを補助する制度が設けられています(保育士宿舎借り上げ支援事業)。

しかし、大阪市は新規採用者のみを対象としています。その為、制度導入前に採用してマンション等に居住している職員には適用されず、大きな待遇差が生じてしまいます。

その為、事業者からは「制度が利用しにくい」という指摘が為されていました。同制度を利用するには、事業者からの補助申請が必要です。待機児童解消特別チーム会議資料によると、平成29年6月までの実施人数は28人に留まっていました。

そこで、大阪市は採用後10年以内の保育士も補助対象とする意向を打ち出しました。ただし、補助上限は月額61,000円、そして保育所等が1/4を負担する内容です。

保育所等が一定の家賃補助を支給している場合、この制度を利用すれば保育士の負担額が大きく減少するでしょう。効果的な施策です。

【大阪市内中心部児童急増対策プロジェクトチーム会議】
9月28日の市長会見が行われた日、午前10時30分から「大阪市内中心部児童急増対策プロジェクトチーム会議」が開催されていました。

市内中心部のタワーマンション等に子育て世帯が集中し、周囲の小学校の過密化が問題化しています。様々な対策を検討していく会議です。

こうした地域で子育てしている方にとり、小学校の教育問題は大きな課題です。関心がある一部の方は、以前から傍聴を希望していました。しかし、「一般傍聴の有無はなし」とされています。その反面、マスコミによる取材は認められています。

これに関連して、市長会見で発言がありました。当日のライブ中継を見ていたところ、「(大阪市内中心部児童急増対策プロジェクトチーム)会議をオープンでやってますけど」を話していました(録画中継で確認したところ、何らかの事情で当該部分はカットされた様子です)。

市長発言の通り、次回以降の会議は是非とも一般傍聴が可能な形で開催して頂きたいです。差し障りがある部分のみを非公開とする措置も可能でしょう。