大阪市は市中心部等で待機児童問題が深刻なのを踏まえ、保育所・小規模保育等の新設・増設に注力しています。
平成30年4月を開所目標とし、新たに補助金交付対象として65箇所の新設等を、また交付対象外でなければ市内全域で公募を行う計画です。過去最大規模の募集となる見通しです。
募集該当区と整備補助金交付対象か所数
区 自主整備 補助対象となる 合計 認可保育所
・こども園の新設小規模保育の新設
保育所・こども園の増築・分園北区 ○ 3 3 6 都島区 ○ 2 2 4 福島区 ○ 2 1 3 此花区 ○ – 1※ 1 中央区 ○ 3 3 6 西区 ○ 2 2 4 港区 ○ 1 1※ 2 大正区 ○ – – 0 天王寺区 ○ 3 2 5 浪速区 ○ 2 1 3 西淀川区 ○ 1 2 3 淀川区 ○ 2 2 4 東淀川区 ○ – 2 2 東成区 ○ 1 2 3 生野区 ○ – – 0 旭区 ○ 2 1 3 城東区 ○ 3 2 5 鶴見区 ○ 1 1 2 阿倍野区 ○ 3 2 5 住之江区 ○ – 2 2 住吉区 ○ – 2 2 東住吉区 ○ – – 0 平野区 ○ – – 0 西成区 ○ – – 0 合計 ○ 31 34 65 ※此花区及び港区については、各1か所、家庭的保育事業所に係る開設準備補助金の交付の対象となります。
http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000383735.html より作成
規模も去る事ながら、区毎の待機児童数・率を踏まえて募集数にメリハリが付けられているのが特徴的です。
遂に阿倍野区でも大募集
最も募集数が多いのは北区・中央区の6箇所です。北区は南東部、中央区は東部で保育所等へ特に入所しにくい状況となっています。
保育需要の全般的な上昇に加え、子育て世帯が少なくて保育所が少なかった地域に、タワーマンション等に居住して保育を必要とする子育て世帯が転入する等した結果、保育需要が急増したのが主な要因です。これは市内中心部の他区も共通した現象です。
次に多いのは天王寺区・阿倍野区・城東区の5箇所です。天王寺区は区内全域、阿倍野区は北部、城東区は関目・鯰江地域が極めて入所しにくい状況です。
天王寺区は年1箇所程度のペースで保育所の新設が行われてきました。一方、阿倍野区は保育所の新設が殆ど行われず、こども園への移行・小規模保育の新設が主たる内容でした。その為、保育所の新設に注力する他区と比べ、待機児童対策が十分ではないと感じていました。
しかし、阿倍野区は保育所3箇所・小規模保育2箇所の新設を予定しています。区役所等の方針が一転した様に感じます。待機児童問題が(一時的に)好転するのは間違いないでしょう。
それ以外の区も概ね入所保留児童数・保留率・待機児童数等に見合った形で施設の新設等が予定されています。詳細な募集地域等は、12月末頃に公表される見通しです。
事業者から応募はあるのか
心配なのは応募の有無です。
大阪市でも保育所の求人難・保育所用地の確保難は否めません。ここ数年の公募を見ていても、徐々に応募数が減少している傾向は感じられます。65箇所の保育所等を運営するには、1000名近くの保育士が必要となりそうです。
これだけの保育士を募集・採用できるのでしょうか。潜在保育士等を採用する補助事業を行っているとはいえ、決して容易ではありません。
少し気になったのは新設予定が全く無い東住吉区です。同区の入所倍率等は市内で最も低い水準です。しかし、区中心部の入所倍率が極めて高い反面、南部・北東部は低い水準に留まっています。各地域毎の違いが極めて大きい状況です。
区全体を通じてみれば適正な施設数かもしれませんが、地域毎をマクロに見ていくと歪な状況となっています。少し心配な地域です。
大正区・平野区・西成区でも新設予定がありません。従来から保育所が多いのに加え、未就学児が急激に減少している地域です。子育て世帯の転入が望まれる一方、前2区は交通事情等から市内中心部へ通勤しにくいのは否めません。