保育所等への入所とは切っても切り離せないのが「大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱(保育利用調整基準)」です。
点数制による入所判定は賛否両論ありますが、入所基準の明確化・選考基準の透明性という点からは望ましい制度だと考えています。
入所判定を行わずに誰もが希望する保育所等へ入所できるのが理想的ですが、財政・土地確保・保育士不足という理由から当面の間は非現実的でしょう。

毎年の様に細かな改正が行われている大阪市の利用調整基準ですが、今年も改正が行われる予定です。

「大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱」(保育利用調整基準)の一部改正について

  これまで大阪市では、「大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱」(平成26年度以前は「大阪市保育所入所に関する事務取扱要綱」)において、保育の優先度や保育の実施の申込み等について定め、これらに基づき保育の利用に関する事務を行うことにより、わかりやすい利用調整を実現し、利用調整事務における透明性を確保してきたところです。

  この度、前回の利用調整結果等を踏まえ、保育利用調整基準が利用申込み世帯の状況をよりきめ細かく、的確に反映するものとなるよう、必要な改正を行うため、市民の皆さまから幅広く意見を募集することとします。

「大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱」(案)
同 一部改正(案)内容一覧
同 「新旧対照表」(案)

http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000318938.html

ざっと読んだ限りとなりますが、実質的な改正点は下記の通りです。

1.精神障害者保健福祉手帳3級、療育手帳B2の基本点数を80点から60点へと変更する

従来は精神障害者保健福祉手帳2-3級、療育手帳B1-B2の基本点数をまとめて80点としていました。
これを細分化し、3級・B2は身体障害者手帳4-6級と同じ基本点数としています。

2.正当な理由なく保育施設等のの利用内定を辞退した場合の調整点数を-1点から-5点へ変更する

影響を受ける方が多くなりそうな変更点です。
利用内定後に辞退した場合、同一年度内を利用希望日とする利用申込での調整において、調整点数が5点も減点されます。
同一年度内の入所内定は極めて困難となるでしょう。

減点幅が大きくなったのは恐らく一斉入所内定後に辞退者が多発し、利用調整業務等に大きな支障が発生したからではないでしょうか。
入所保留を避けるべく遠い保育所等も記入したが、内定後に辞退した方が一定数おられるでしょう。
それに加え、平成27年度一斉入所では新たに保育事業(小規模保育・保育ママ等)も対象となったのが大きいと推測されます。
わずかな期間で小規模保育等を見学して急かされる様に入所申込を行ったが、いざ内定後に冷静に考えると登園するのが難しく、内定を辞退して認可外保育施設へ登園して保育所の空きを待つ・・・・こんな展開が思い浮かびます。

内定後の辞退者が多発すると繰り上げ入所や二次選考の実施・保育所等の受入計画の変更等、関連する多くの人間が振り回されてしまいます。
いわば一種の制裁的措置と言えるでしょう。
影響が強く大きいので、入所申込書を記載する際には細心の注意が必要です。

なお、改正後の利用調整基準は平成27年10月1日からの施行が予定されています。
但し、附則に「平成28年3月31日までに利用を開始するための児童福祉法の規定による保育施設等の利用にかかる調整については、なお従前の例による」とあります。
改正後の基準が適用されるのは4月1日以降の利用開始、すなわち平成28年度一斉入所の利用調整以降となるのでしょう。

上記改正案については意見公募手続が行われています。
意見のある方は、9月10日までに大阪市役所こども青少年局保育施策部保育企画課へご提出下さい。

様々な方からご相談を受けている中で、問題があるのではないかと認識したケースもあります。
例えば1号認定されている兄姉が登園している幼稚園(認定こども園)につき、弟妹が保育部分への利用調整を申し込んだ場合の取扱いです。
要綱や調整指数表を見る限り、きょうだいの状況として7点加算がされるとは読み取れません。
制度趣旨を踏まえると7点加算されるべきと言う印象です(既に加算対象であれば良いのですが)。
大阪市内でも認定こども園が徐々に増えており、幼稚園(1号認定)とオーバーラップする部分の明確化は必要だと考えています。

余談となりますが、連携施設における優先枠(事務取扱要綱第7条)については変更がなさそうです。
「当該卒園児について優先的に利用調整を行う」と記載されていますが、具体的な内容や優先枠等は表に見えていません。
既に平成27年度一斉入所の時点で西区等は保育事業等の卒園児の保育先が見つかりにくく、深刻な事態に陥っていたと考えられます(いわゆる3歳児問題)。
優先枠を具体的に示す必要性があるのではないでしょうか。