「令和7年度「全国学力・学習状況調査」大阪市の結果」が公表されています。小学生は全国平均をほんの少し下回る、中学生は大幅に下回りました。
主たる原因の一つは中学生の学力下位層の多さでした。学校外学習時間の短さと一定の関係があります。
令和7年度「全国学力・学習状況調査」大阪市の結果をお知らせします
大阪市教育委員会では、令和7年度「全国学力・学習状況調査」について、教科に関する調査の平均正答率を含む調査結果の概要を取りまとめました。
文部科学省は、平成19年度から「全国学力・学習状況調査」を実施しています。この調査は、国や各教育委員会、各学校が、児童生徒の学力・学習状況をきめ細かく把握・分析することにより、成果と課題を検証し、その改善を図ることを目的としています。大阪市教育委員会も、この調査の趣旨に則り実施してまいりました。
保護者や市民の皆様に説明責任を果たすとともに、教育により関心をお持ちいただき、ご協力いただくため、教科に関する調査の平均正答率を含む調査結果の概要について公表するものです。(以下省略)
小学校(国語・算数・理科)は全国平均もしくは若干下回る(全国平均との差は縮小傾向)、中学校(国語・数学・理科)は全国平均を大きく下回る結果となりました。大阪市の学力低迷の中心地は「中学校」、特に学力下位層です。
https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/cmsfiles/contents/0000658/658105/R7_kekkasokuhou.pdf
理由の一つには、小学校と中学校での学習方法の違いがあるでしょう。
小学校では授業→宿題→翌日に宿題を提出→先生が採点・返却する、というサイクルが確立されていました。授業・復習・先生による確認作業がルーチンワーク化されていました。
授業を受けた当日に宿題という形での復習課題が出ていました。学習した内容を定着するには適したタイミングです。年度初めに学校で購入したワークやプリント、国語は教科書の音読が主な宿題でした。
また、宿題の内容や提出の有無により、先生は児童毎の学習状況を即座に把握できていたでしょう。出し忘れた子供には授業終了後に居残りさせて解かせたり、連絡帳を経由して家庭に伝えていました。
児童への個別学習指導も頻繁に行っていました。学習内容がイマイチ定着していない児童数人を残し、補習等を行う日もありました。とにかく児童に丁寧に寄り添う姿勢が印象的でした。
しかし、中学校に入学した後はこうしたサイクルや姿勢が一変しました。
保護者にとって衝撃だったのは「宿題がない」ことでした。子供に何度も確認し、先生にも「本当に宿題はないのですか?」と訊ねたぐらいです。一部の教科で稀にあった程度です。
代わりに定期テスト終了までに指定されたワークや課題を完成させ、提出する形式となっていました。小学校は日々のサイクルでしたが、中学校は定期テスト毎のサイクル(概ね1か月半~2カ月程度)で動いています。
子供には長期的な計画が求められます。計画性があったり学習意欲が高い生徒は、毎日少しずつワーク等を進め、定期テスト期間に入る頃には概ね終わっているでしょう。
しかし計画性がなかったり学習意欲が低い生徒は、往々にしてテスト直前に苦しんでいます。計画性が皆無だった我が家の子供は、定期テスト4日前になってもワークが100ページ以上も残っていた事もありました。
多くの生徒は期限までにワーク等を提出しますが、決して少なくない一部の生徒は提出していません。先生方が期限後でも提出を強く求めるかと思いきや、多くの先生が求めていないと聞いたのには驚きました。
勿論、中には強く追加提出を求める先生もいます。中には「○○日までに提出しなさい。出来るまでは部活動への参加を禁止にします。」と指導する先生もいます。でも、それは一部に限られていました。
求めていない理由を先生に訊ねたところ、「出して欲しいが、何度言っても出さない。課題未提出として評価を下げている。」という返事がありました。生徒に課題提出を介して学習を促す姿勢が感じられなかったのに愕然としました。
課題を提出しない生徒がテストで十分な点数を取るのは難しいです。授業での学習内容の理解も不十分です。小学校までは何とか学習に付いていけていても、中学校では成績が落ちていきます。
日々の宿題がなく、定期テスト毎のワーク提出さえ怠れば、小学校生活を通じて身につけた家庭での学習習慣は容易く崩壊します。
家庭学習の時間とテストの点数には相関関係があります。特に算数・数学とはやや強い相関関係があります。
https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/cmsfiles/contents/0000658/658105/r7_kekkashousai.pdf
家庭での働きかけにも問題があるのでしょう。都市部には様々な家庭があります。自宅に保護者が殆どいなかったり、子供の学習に関心が全くないという話もあります。
小学生とは異なり、中学生はなかなか親の言うことを聞きません(それが成長かもしれませんが)。宿題もなければ、下校後に自宅で学習させる動機付けに苦しみます。
しかも最近は中学生でもスマホ等を持つのが当たり前になっています。自宅でスマホ等でずっと遊んでいたら、勉強する訳がありません。
今の時代、中学生が学校外で勉強するには塾へ通うのが標準的です。塾代は本当に高いです。中には年間100万円を超える塾もあります(動物印の大手塾等)。通塾の可否は家庭の経済状況によって大きく左右されます。
何度か中学校の先生に「日々もしくは週単位で宿題を出して欲しい(特に英語と数学)」と頼んだ事もありましたが、返事は「難しい」ばかりでした。
主な理由は「宿題を出さない生徒が少なくない」「通塾している生徒には負担が重すぎる」「先生が目を通す時間が無い」などでした。
本来は学力下位層を対象とした個別課題や補習等を行うべきなのでしょう。一部の先生からはそうした発言がありましたが、時間を割くのも容易ではないそうです。
大阪市は小中学生の学力向上の為に様々な対策を行っていますが、何か空振りしているかの様な印象を受けています。
学習は学校内で完結しません。もっと学校外(=家庭)で学習する為の、強力な働きかけが必要だと感じています。
高校へ進学した後は、ますます家庭学習や自習する力が必要となります。中学生の内に確立できると、高校での学習や大学受験も順調に進むでしょう。



