大阪市は小学校に続き、中学校の統廃合を積極的に進める方針です。具体的には「全校で5クラス以下」という基準を設ける見通しです。

 5クラス以下の中学校が、統廃合の対象になるかもしれません。大阪市の横山市長や教育長が出席して開かれた総合教育会議で、市立中学校を統廃合する際の基準を条例で定める方針が固まりました。

市では、2020年に小学校の再編ルールを全国で初めて条例で定め、運用してきましたが、少子化の影響を踏まえ、中学校についても検討を続けてきました。

横山市長「クラス替えができないような学校が増加している現状を踏まえますと、中学校についても配置の適正化を進めていかなければいけない時期が来ていると考えております」

専門家らによる審議会は、「3学年あわせて5クラス以下の学校」などを再編の対象とするよう提言していて、今後、この案に基づき議論が進められる見通しです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/f337e4913d0015ca277a0e17384578ba0e792e5e

議論を行ったのは大阪市学校適正配置審議会(第43回)です。直近の議事録や配付資料等は未だ掲載されていませんが、原案が提示された第42回審議会での資料等は掲載されています。

審議会では「少なくともクラス替えができる規模が必要」「将来的には各教科につき複数の教科担任を確保できる9学級以上を基準としたい」といった意見がありました。

現に5クラスを下回っているのは、南中学校(中央区)・木津中学校(浪速区)・柴島中学校(東淀川区)・南港南中学校(住之江区)・矢田南中学校(東住吉区)・矢田西中学校(東住吉区)・長吉六反中学校(平野区)・今宮中学校(西成区)・鶴見橋中学校(西成区)・梅南中学校(西成区)です。

https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/cmsfiles/contents/0000177/177833/1kyousi.pdf

更に全校で3クラスしかない築港中学校(港区)は、港中学校との統廃合計画の策定が進められています。

港中学校・築港中学校 学校適正配置検討会議
https://www.city.osaka.lg.jp/minato/page/0000626695.html

小学校と比べ、中学校の統廃合(適正配置)は急務かつクリアすべき基準は緩やかでしょう。

小学生は徒歩で通学できる範囲が一定程度に限定されるのに対し、中学生はより遠方まで通学できます。小学校は地域との繋がりが非常に強いのですが、中学校では希薄です。

小学校は学校規模・クラス規模が小さいほどに先生は児童の様子を細やかに観察できますが、中学校ではそうした傾向は見えません(あるのかもしれませんが)。

また、中学校では小学校以上に規模感が求められます。複数の教科担任を配置するのが望ましいのに加え、複数の部活動(特に団体競技)を設置するには大勢の生徒が必要です。

小規模の中学校には活動したい部活動がない、あってもチームを構成できるだけの生徒がいない可能性が高いです。これらの事情もあり、築港中学校区から隣接地域にある港中学校へ多くの生徒が進学しているという実情もあります。

学力面でも問題があります。現に5クラスを下回っている中学校の多くは、全国学力・学習状況調査(学力テスト)の結果が芳しくありません。生徒の流出やファミリー層の敬遠を招いている一面もあります。一定の規模が無ければ、学力面でのテコ入れも難しいと考えられます。

年間100万人前後が生まれていた中学生世代でもこうした状態です。年間出生数が70万人を割り込みそうな2024年生まれが中学校へ進学する2037年頃には、約3分の1の中学校が過剰という計算になります。

社会構造が根本的に変わります。