(10/15追記)
元園長ら6人が認定こども園「くみの木こども園つくの」を運営する社会福祉法人ラポール会を提訴しました。

 大阪府堺市西区の認定こども園「くみの木こども園つくの」を退職した元園長の男性(44)と元保育教諭の男女5人が14日、運営法人側のパワハラなどで退職を強いられたとして、社会福祉法人「ラポール会」(大阪狭山市)や理事長らに対し、計453万円の損害賠償を求める訴訟を地裁堺支部に起こした。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c6d110d58b1fa1876c35fbc2fdc02b6a65fb555a

ラポール会は大阪狭山市に本部があります。大阪府南部で30か所以上の介護事業所を、そして3か所の保育施設を運営しています。その内の一つが「くみの木こども園つくの」です。

同園で何かが起きているのはブログの更新からも明らかです。今年3月22日の「卒園式」を最後に、ブログの更新が止まっています。

この時期の提訴は、来年4月に向けた新入園児の募集にも大きな影響を及ぼします。「元園長と運営法人が訴訟で争っている保育施設は敬遠しようか。何か別の問題が起きてもおかしくない。6年間通うのは不安だ。」と感じる方もいるでしょう。

同こども園への入園を検討している方は、慎重に検討する様にして下さい。説明会で質問するだけでなく、堺市の担当部署に(市が把握している)事実関係等を訊ねるのも一つの方法です。

——–
大阪府堺市の認定こども園で勤務していた保育士6人が元勤務先である法人へ民事訴訟を提起する予定です。不当な人事や保護者への虚偽説明等により、精神的苦痛や名誉毀損を受けたとするものです。

 去年以降、保育士が集団で退職した認定こども園の運営をめぐり、園長だった男性を含む元職員の保育士6人が、「不当な人事や、保護者への虚偽の説明があった」として運営法人を相手に精神的苦痛や名誉棄損による損害賠償合計約400万円を求め、近く民事裁判を起こすことが分かりました。

■15人の保育士が集団退職 園児19人も転園
 訴えを起こそうとしているのは、大阪府堺市西区の認定こども園で働き、今年3月までに退職した保育士の男女6人です。

 取材に応じた保育士らによりますと、この園では運営法人の対応への不満を理由に、今年5月末までに保育士21人のうち、計15人が退職。市によりますと、現在、園には0歳から5歳までの園児79人が通っていますが、保育士の集団退職時には、保護者の不安などを理由に、園児19人が転園していたということです。

 訴状などによりますと、元園長は保育士としての専門知識を踏まえ、保育環境の改善にあたっていたにもかかわらず、具体的な説明もないまま「降格処分」になったということです。さらに、この処分について説明会を求めた保育士に対して、法人側は個人面談で対応。納得できる説明をしないまま、退職・在職の判断を求めたとしています。

 また、保育士の集団退職に関する保護者説明会では、退職する職員がいない状況で、法人側は保育士らが他の職員に集団退職を求めていたことなど、ウソの説明をしたと主張しています。(以下省略)

https://news.ntv.co.jp/n/ytv/category/society/yt4cdef3b00d7e4b7ea4c08ce481541db0

実は堺市では、こども園におけるパワハラ問題が頻発しています。

昨年3月にはあいあい浜寺中央こども園でパワハラを起因として保育士が一斉退職し、100人以上の園児が転園する事案が発生しました。

【3/22追記】あいあい浜寺中央こども園(大阪府堺市)で理事長母がパワハラ→保育士一斉退職、新年度は3-5歳児保育のみ? 
園児100人以上が退園へ あいあい浜寺中央こども園(大阪府堺市)

昨年末にはくみの木こども園つくの(社会福祉法人ラポール会)にて運営法人によるパワハラや人事異動を理由とし、半数以上の保育士が退職しました。

110人在籍こども園、保育士の半数以上が退職意向…パワハラや急な人事異動の不安訴え

実は保育所等ではパワハラ等が問題化しやすく、更に一斉退職が起こりやすい構造を有しています。

まずは閉鎖性です。

一般的な事情会社と比べると、保育所等では別部署や別の勤務地で異動する機会が限られています。運営する保育所等が一箇所という法人が多い為です。

多くの職場で大なり小なりのパワハラ等は発生していますが、当事者が異動する事によって問題が解消される事は少なくありません。異動によるメリットの一つです。

保育所等は外部の目も届きにくいです。朝夕は大勢の保護者が出入りしますが、それ以外の時間帯は職員と園児のみで過ごします(出入りの業者もいるがが少ない)。パワハラ発言等があっても、外部の第三者が気付くのは難しいです。

現に勤務場所にも問題があります。原則として保育士の仕事は保育所等の内部で完結します。日中に外部へ外出する機会は殆どありません。外部研修や買い物へ出掛ける機会は稀です。パワハラ等を受けても、逃げ場がありません。

一方で日中は常に同じ場所で働いている事から、保育士同士の人間関係は濃くなりやすいです。一斉退職に繋がりやすい土壌が生まれます。

更に退職後しても再就職は容易です。全国各地で保育士が不足しており、争奪戦が行われています。

民事裁判に於ける主張の是非は別として、一般的に一斉退職する保育士に何ら責任はありません。こうした事態に追い込んだ経営サイドに責任があります。

ただ、残される園児への影響は甚大です。ある日を境に、慣れ親しんだ先生方が一斉にいなくなってしまう訳ですから。安定した保育が継続できるのでしょうか。既に19人が転園しました。

一斉退職に至る相当前から、大勢の保育士が職場環境に不満を覚えていました。報道によると、堺市にも相談等を行っていたそうです。同市は労使問題・雇用問題として深入りを避けました。

しかし、こうした問題が継続すると、保育に悪い影響を及ぼすのは明らかでした。法人の人事に介入できなかったとしても、保育環境の改善・維持という観点からの指導は可能でした。

また、同様の問題が堺市で何度も起きているのは不思議です。それとも水面下で他市でも頻発しているのでしょうか。