「プールの水の出しっ放し」が夏の風物詩となり得るかもしれません。

大阪市立今市中学校(旭区)にて約49時間に渡ってプールの水(約1617立方メートル、約94万円分)が出しっ放しとなっていました。

大阪市教育委員会は16日、市立中学校で、プールの操作盤を誤ったことにより、プールから水があふれ出ている状態が2日以上続いたことが判明したと発表しました。損失額は約94万円とみられています。

 市教委によりますと、大阪市旭区の市立今市中学校に設置されている25メートルプールで、6月10日午前11時40分ごろから、12日午後0時40分ごろまでの約49時間、水が給水され続けたということです。

 教職員がプールの水をろ過する機械を動かす作業を行った際、プールの給水を調整する操作盤を誤って操作したことが原因で、給水が始まっていることに気づかず、12日に水道メーターの確認業者からの指摘を受けて事態が発覚しました。

 この約49時間で約1617立方メートルの水が給水され、損失額は約94万円にあたるということで、今後、損失費用の負担については市で検討するということです。

 大阪市内では、去年も東住吉区の市立小学校のプールで3日間にわたって給水が続く問題が発生していました。

 大阪市教育委員会は、「各校園長に対して、プールの管理に係る要項等を毎年確認し、チェック体制を必ず構築すること等の通知を行っているところですが、再度、全校園に対し、教職員への周知徹底を図り、再発防止に努めてまいります」とコメントしています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/6fa4bdaa517085fed6e5de9979e5de4ee0f642ff

教職員が濾過装置を動かす際に誤ってプールに給水する操作盤を操作してしまい、給水されている事に気づかぬままに約2日間が経過してしまいました。業者が指摘しなければ、更に多くの水が給水され続けていたでしょう。

より詳しい内容が大阪市教育委員会報道発表資料に掲載されています。

1 概要と事実経過

 令和7年6月10日(火曜日)午前11時45分頃、教職員3名がプールろ過機を作動させるためプールの機械室へ入った際、教職員の1名が、プールろ過機の作動方法を十分に認識していなかったことから、誤ってプール操作盤の電動バルブを回して「手動開」にしたため、満水状態にあったプールの水面下にある給水口から、プールへの給水が開始されました。その後、教職員3名は、プールろ過機を作動させ、機械室を去りました。

 6月12日(木曜日)午前10時50分頃、水道メーターの確認業者から学校へ、水道使用状況が例年以上であるとの指摘があり、教職員2名がプールへ向かったところ、プールの水がオーバーフローしている状態を確認しました。その後、午後0時45分頃、別の教職員1名がプール操作盤の電動バルブを「手動開」から「自動」に回したところ、オーバーフローが止まったことを確認しました。

2 原因

 当該校の教職員がプール操作盤の電動バルブを「手動開」に切り替えるとプールへ給水されることを理解していなかったことが原因です。

https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kyoiku/0000655736.html

大阪市では「学校プールの水を出し放しにする」事案が相次いで発生しています。つい先週は平尾小学校で生じたばかりです。

排水弁が開いている状態でプールの水を流し続ける 大阪市立平尾小学校

誤操作した教職員に大きな責任があるのは否めません。一般的に中学校でのプール給排水等は体育科教員が行います。様々な教員が関与する小学校より、ミス等は生じにくい筈です。

しかし、ミスは誰にも起こります。問題なのは「誤った給水が行われているのに誰も気づけない。」という構造です。

プールで大量の給水が行われていても、確認できるのは原則としてプール内のみです。職員室等から水道メーターや設備の動きは見えないでしょう。プールに近づいても、給水を行っているかは全く分かりません。

給水を実行した教職員がつい忘れてしまった、職員室に報告等を行わなかった、誤った給水を実行してしまったとなると、誰の頭の中にも「プール給排水を行っている」との認識がないままに水が流れ出していきます。

再発を防ぐとしても「教職員1人1人がしっかりと気をつける」では限界があります。ヒューマンエラーによって発生する問題への対策を「人間の注意力」に求めるのは本末転倒です。

低コストで監視するのであれば、例えば職員室から監視できるカメラを操作盤に向けて設置し、プール授業を行っている期間中は朝夕に職員室から確認するのが一つの方法でしょう。

それ以外にも何らかの形で給水が実行されている旨を周知する方法があるでしょう。プール内や近くに行かなくても気付ける仕組みが重要です。

私自身、年に何度か風呂の栓をし忘れた状態で給湯ボタンを押してしまう事があります。数分後、リビングにある給湯パネルからエラー音が鳴り響き、お湯が溜まっていない事を伝えてくれます。

学校の先生は本当に多忙です。外部からの問い合わせ等も含めた様々な業務を同時に処理していたら、プールに給水している旨を忘れてしまう事もあるでしょう。誤って操作してしまう事もあり得ます。

重要なのは人間の手を介さない再発防止策です。人間頼りにするのであれば、「水の出しっ放し」や「誤操作による給水」は再発します。

2週間続けて発生するのは異常事態です。真剣に対策を考えて欲しいです。