(腸管出血性大腸菌(O157等)の電子顕微鏡写真、大阪府より)

2022年12月に大阪市平野区の保育施設にてO157集団感染が発生しました。最終的には園児・職員・家族等を合わせて23人が陽性だったと確認されました。大半は0歳児クラスと1歳児クラスの関係者でした。

大阪市平野区の保育施設でO157集団感染 園児11人・職員1人が感染

国立感染症研究所が発行している病原微生物検出情報(2023年9月発行分)に本事例が詳しく掲載されています。

保育施設における腸管出血性大腸菌O157による集団感染事例(第1報)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/mdrp-m/1441-idsc/iasr-in/12283-523d02.html

保育施設で発生した腸管出血性大腸菌O157集団感染事例における分子疫学解析結果について(第2報)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/ehec-m/ehec-iasrd/12284-523d03.html


https://www.niid.go.jp/niid/images/iasr/2023/9/523d02f01.gif

保育施設を利用している家庭として気になったのは、感染が広がった経緯です。

本報告書では「0歳児の布オムツ」「1歳児のパンツ」「0歳児と1歳児の合同保育」がリスク要因として指摘されています。

0歳児および1歳児クラスにおける感染伝播のリスク要因を検討するため, おむつやトイレの運用状況について聞き取りを実施した。その結果, 0歳児は布おむつの運用, 1歳児はパンツによるトイレトレーニングが実施されていたことが明らかとなった。

また, 合同保育が実施されており, 特に0歳児と1歳児クラス園児が一緒に保育を受ける時間があり, 0歳児クラスから1歳児クラスへと感染伝播する機会があったと考えられた。

事例探知後, 園児および職員の健康管理, 手指衛生, 環境清掃が強化され, 0歳児, 1歳児クラス園児を一時的に紙おむつ運用へと切り替えるとともに, クラス横断的な感染伝播の懸念から合同保育が停止された。(中略)

感染伝播の明らかな要因は不明であったが, 布おむつやパンツの交換が感染拡大の一因となった可能性は否定できない。自らの症状を訴えづらく, 排せつが自立していない乳幼児の保育は日常的に感染拡大リスクが高く, 適切な感染管理の持続的な順守が感染拡大防止に重要となる。

布オムツは後処理が本当に大変です。便を取り除き、布オムツを除菌・消毒・下洗いする必要があります。またトイレトレーニング用のパンツも同様です。処分するだけで済む紙オムツを比べると、どうしても便などに接する機会が増えてしまいます。

園児も同様です。汚れた布オムツやパンツに触れる機会があります。保育士が手指衛生を徹底できますが、0-1歳児は無理です。

異年齢の合同保育もリスクがあります。他のクラスへ感染が広がる機会となってしまいます。新型コロナでも合同保育を切っ掛けに他クラスもクラスターに巻き込んでしまった事例がありました。

我が家がお世話になっている保育所では新型コロナの感染拡大を契機として全面的な紙オムツ使用に切り替わり、同時に園内で処分する運用となりました。

今から思うと当然の判断ですが、同時にコロナ禍前の衛生意識の甘さを痛感しました。