(腸管出血性大腸菌(O157等)の電子顕微鏡写真、大阪府より)

O157と聞くと、1996年に堺市で発生した食中毒事件を今でも思い出します。

堺市学童集団下痢症

堺市学童集団下痢症(さかいしがくどうしゅうだんげりしょう)は、1996年(平成8年)7月に、大阪府堺市で学校給食を原因として発生した集団食中毒。児童7,892人を含む9,523人が腸管出血性大腸菌O157に感染し、3人の児童が死亡。併発した溶血性尿毒症症候群(HUS)による後遺症が残った児童も多数に及び、発生から19年後の2015年(平成27年)10月には、当時小学1年生でHUSを発症した女性が、後遺症により死亡している。(以下省略)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A0%BA%E5%B8%82%E5%AD%A6%E7%AB%A5%E9%9B%86%E5%9B%A3%E4%B8%8B%E7%97%A2%E7%97%87

先日、大阪市平野区の保育施設でO157集団感染が発生しました。

大阪・平野区の保育施設で、0歳から2歳までの園児11人と職員1人のあわせて12人から病原性大腸菌、O157が検出され、大阪市保健所は、集団感染が起きたとして、手洗いや消毒を徹底するよう施設に指導しました。
重症の人や入院した人はいないということです。(以下省略)

https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20221219/2000069269.html

詳しい内容は大阪市の報道発表資料に掲載されています。

1 集団発生事例の概要
 令和4年11月30日(水曜日)、他市より、腸管出血性大腸菌感染症(O157・VT1VT2)の患者が通所する平野区内のある保育施設の調査依頼を受け、大阪市が施設調査と二次感染予防の指導を行いました。有症状者への受診勧奨と接触者の検便を実施したところ、令和4年12月18日(日曜日)時点で12名の感染が判明しています。

2 患者情報
発生届受理日:令和4年11月30日(水曜日)1名、12月10日(土曜日)1名、12月15日(木曜日)2名、12月16日(金曜日)7名、12月17日(土曜日)1名

感染症名:腸管出血性大腸菌感染症(O157・VT1VT2)
年齢:0歳~2歳の園児11名および40歳代の職員1名の合計12名
症状:患者(有症状)11名 令和4年11月16日~12月12日発症 <主な症状>下痢、発熱、嘔吐、血便等
無症状病原体保菌者 1名
現在の状態:重症者・入院患者はいません。

3 施設情報
平野区内の保育施設

4 大阪市の対応
 令和4年11月30日(水曜日)及び12月1日(木曜日)に当該保育施設へ聞き取り調査を実施し、二次感染を防止するための手洗いの励行、消毒等について指導しました。

 その後、当該保育施設内で、新たに1名の患者発生と複数名の有症状者がいるとの情報があり、12月10日(土曜日)より調査を進め、当該保育施設の有症状者の受診勧奨と患者の接触者の検便を実施しました。医療機関受診者や接触者検便においてさらに10名の感染が判明し、その患者に対する疫学調査及び患者の接触者に対する健康調査と検便、並びに施設に対する感染拡大防止の指導を実施しました。

 当該保育施設においては、令和4年12月18日(日曜日)に園児の保護者に対して説明会を行っております。

 引き続き、当該保育施設での消毒等の実施状況や有症状者の健康状態等を把握し、関係者への注意喚起と二次感染予防の徹底等、対策を継続します。

https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kenko/0000587639.html

「他市より(中略)患者が通所する平野区内のある保育施設の調査依頼を受け」とあります。近隣他市から平野区内の保育施設を利用している方が、居住自治体にある何らかの施設(医療機関?他市保健所?)で検査を受け、O157だと判明したと捉えるのが自然でしょう。

感染したのは0歳~2歳児11人及び職員1人でした。3歳児以上はいません。重症者や入院患者が発生しなかったのが不幸中の幸いです。ただ、家族への感染の広がりの有無は確認できていません。

全国で猛威を振るっている新型コロナ第8波ですが、大阪での感染拡大は東日本や北日本より遅く始まりました。一方でインフルエンザ・ノロウイルスや胃腸炎が流行しているとの話を聞いていました。今回の集団感染もその一つなのかもしれません。

感染経路は経口感染や便とされています。0歳~2歳児の感染を防ぐのは難しいかもしれませんが、手洗いや消毒等を徹底するのは言うまでもありません。コロナの感染予防と合わせ、気を付けていきたいです。