先日お伝えした【ニュース】保育所面積基準緩和終了で大阪市で待機児童750人出るおそれの続報です。
厚生労働大臣に対し、保育所における居室面積特例措置の期間延長に関する要望書が提出されています。
保育所における居室面積特例措置の期間延長に関する要望について
本市においては、待機児童対策を最重要施策と位置づけ、保育所や幼保連携型認定こども園の整備、保育ママなどあらゆる手法を駆使し、増大する保育ニーズに対応してきました。このような中、国において、依然として待機児童の解消には至らないことから、地方分権一括法により、平成24年度から平成26年度までの3年間の時限的な特例措置として、保育所の居室面積基準の緩和が容認されました。
これを受け、本市の待機児童の状況を鑑み、児童が安心・安全に過ごせる環境であることを確認したうえで、すべての年齢において面積基準を緩和できるよう本市条例に規定したところです。
これにより、待機児童となるべき児童が保育所に入所できるようになり、本年8月1日時点で、約1,800人の児童がこの制度を活用し入所しています。
しかし、このまま平成26年度末に面積基準緩和が終了すれば、この制度を利用して入所している児童のうち、約750人の児童が退所を余儀なくされることになるため、本市としては、何としてもこのような事態が生じないよう、特例措置の延長を強く求める要望書を厚生労働大臣宛に提出しました。
保育所における居室面積特例措置の期間延長に関する要望について
平素は大阪市保育行政にご理解ご協力を賜り誠にありがとうございます。 待機児童対策については、安倍首相が昨年「待機児童解消加速化プラン」を発表されるなど、国においても積極的な取り組みを進めておられます。 本市においても、待機児童対策を最重要施策と位置づけ、私が市長に就任後、それまで認めていなかった、株式会社を含む社会福祉法人以外の法人にも認可対象を拡大し、保育所整備を精力的に進めると ともに、幼保連携型認定こども園、保育ママ事業を含めた小規模保育事業など、あらゆる手法を駆使し、 その結果平成24年度・25年度の2年間で2,973人分の入所枠を拡大してまいりました。
保育所の居室面積基準については、地方分権一括法により、待機児童が特に深刻な地域、保育所のための土地等の確保が困難である地域において、平成24年4月から26年度末まで3年間の時限措置と して、基準の緩和が容認されました。これまでも保育所の面積基準は全国一律に定めるのではなく、地 域の実態に合わせて地方が判断すべきものと考えてきましたが、現実の目の前にいる一人ひとりの子ど もに対応するため、本市においても条例により特例基準を設けたところです。
面積基準緩和の導入にあたっては、児童が安心・安全に過ごせる環境であることを確認したうえで入所決定を行っており、現在約1,800人の児童がこの制度を適用して入所していますが、制度適用後、 このことによる事故の報告もなく、入所した児童の保護者からも評価いただいております。
仮に期限どおりに平成26年度末で面積基準の緩和が終了すると、現在この制度を利用して入所している児童のうち、約750人もの児童が退所を余儀なくされますが、その場合、現在この750人は安心・安全に入所できているという事実を一体どうとらえるのでしょうか。当然、750人もの児童が退 所せざるを得なくなる事態は何としても避けなければなりません。
また、同時に必要入所枠の確保が現実には困難となり、待機児童解消に逆行する事態となると憂慮しています。このような現状を踏まえると、面積基準の緩和について期間の延長をしないという判断はあり得ません。
面積基準の緩和は、十分な保育所設置場所の確保が難しく対応が困難な大都市が特に抱えている問題であって、都市部での待機児童解消なくして、全国的なこの問題の解決はあり得ないと考えておりますので、面積基準の緩和について、期間を延長していただきますよう強く要望いたします。
そもそも子ども子育て支援新制度が十分に機能すれば、待機児童の問題は解消されるはずであり、面積基準の緩和措置は、導入当初、それまでの間の暫定的な措置だと聞いていましたが、新制度はこれからで、現時点では十分とは言えません。大都市を中心に依然として待機児童が発生している現状を考えると、都市部においては、なお面積基準の緩和継続が不可欠であると考えます。
本市としましても、保育所整備にかかる補助事業の充実等による更なる入所枠の確保に努め、引き続き待機児童対策を最優先に取り組んでまいりますので、何卒事情をご賢察のうえ、ご配慮賜りますようお願いいたします。http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/cmsfiles/contents/0000287/287656/youbousyo.pdf
(要望書本文)
大阪市児童福祉施設最低基準条例及び同基準によると、大阪市における最低基準特例措置は下記の通りです。
国基準 | 大阪市基準 | ||
乳児室 | 0歳児 | 1.65m2以上 | 5m2以上(1.65m2以上) |
1歳児 | 5m2以上 | 3.3m2以上(1.65m2以上) | |
ほふく室 | 0歳児 | 3.3m2以上 | 5m2以上(1.65m2以上) |
1歳児 | 3.3m2以上 | 3.3m2以上(1.65m2以上) |
※カッコ内は待機児童が多いと認めた地域の保育所の場合の基準(平成27年3月31日までの特例措置)
居室特例措置は悩ましい問題です。
児童が保育所で安心・安全・快適に過ごす為には、特例措置を終了させて1人あたりの面積を十分に確保すべきでしょう。
仮に特例措置を継続すると、特例措置が恒常化されてしまい、いつの間にか定着してしまう恐れもあります。
一方、特例措置が終了すると750人の児童が対処を余儀無くされます。
誰がこの制度を利用して入所しているか、当該児童の保護者ですら認識していないかもしれません。
また、平成27年度一斉入所を含む今後の募集数にも大きな影響が生じるでしょう。
寄せられたコメント(ありがとうございます)によると、現に一斉募集数に影響が出ているそうです。
各保育所の募集数に不自然な減り方が見受けられたのも、これが原因の一つでしょう。
特例措置および延長の是非は別として、仮に特例措置の延長が決まった場合、待機児童が多いエリアの保育所における募集数は上方修正される可能性が高いでしょう。
ただ、昨今の政治情勢及びスケジューリングを勘案すると、延長された場合であっても、来年2月の一斉入所内定・保留通知の発送までに必要な措置が間に合うかは難しいかもしれません。
新制度の導入・特例措置の終了と、今年の一斉募集は本当に大変です。