JR東日本の管轄駅で駅員に「階段で電動車いす(約100kg)を運搬して欲しい」と依頼したところ、「できない」と断られた日記が話題を呼んでいます。賛否両論、炎上等が入り乱れています。
JRで車いすは乗車拒否されました
http://blog.livedoor.jp/natirou/archives/52316146.html
この話題で思い出したのは、子供をベビーカーに乗せて外出していた頃です。
公共交通機関等で移動するコースを選ぶ基準は「折り畳まなくて済む迂回路を優先する」「ベビーカーを折り畳む必要がある目的地は極力避ける」といった物でした。
例えば大阪市営地下鉄では、一部の出入口にしかエレベーターがないのが一般的です。たとえ目的地最寄と反対側の出入口であっても、エレベーターを使える経路を優先しました。
畳んで乳児を抱っこするのに比べたら、そのまま押して移動できる迂回路の方が遙かに楽で安全です。
電車の乗り換えも同じです。エレベーターで乗り換えられない駅ではなく、遠回りになってもエレベーターを利用できる駅で乗り換える様にしていました。
経験した方は分かると思いますが、ベビーカーを折り畳むのは本当に大変です。
座台の下に入れてある荷物や押す部分に掛けてある荷物を取り外し、ベルトを外して乳児を抱きかかえ、片手でベビーカーを畳んで移動します。荷物・乳児・ベビーカーを2本の腕で抱え、不安定な階段等を移動しなければなりません。
更に勝手に走り出すような上の子がいるようなら、本当に本当に大変です。ずっと緊張が続きます。
移動し終えた後も一苦労です。反対の手順でベビーカーを広げなければなりません。こんな苦労をするならば、畳まなくて済む迂回路を選ぶのは当然です。
バス移動も避けました。大阪市営バスは畳まずに乗れる車両が専らですが、混み合ってくると畳まざるをえません。また、他の方にお願いして通路を空けてもらうのに心苦しさも感じました。
また、エレベーターで理不尽さを強く感じた事がありました。百貨店等でエレベーターを利用する際、大勢の客が乗っているエレベーターを続けて何回も見送らざるを得ない時です。
多くのエレベーターには「ベビーカーや車いす利用者を優先」といった表記がなされています。しかし、これを読んでいる人は本当に少ないです。
開いたエレベータードアの前で数台のベビーカーが待っていても、二本の足で立っている大勢の乗客はほぼ降りてくれませんでした。
後日、その百貨店のカスタマーセンターへ「優先エレベーターであれば、ベビーカー等を優先させる適切な手段を講じて欲しい。できないなら優先表記を外すべき。」とお願いしました。
こうした経験があるので、混んでいるエレベーターを利用している時にドアの外で待っているベビーカーを見かけたら、子供と一緒に積極的に降りる様にしています。
エスカレーターで移動しても大した時間差はありません。でも、エレベーターを待っている方にとっては、エレベーターに乗れなければ時間ばかりを浪費してしまいます。
ベビーカーを毎日の様に利用していた当時は、バリアフリー化の遅れを嘆きながらも「こんな時代なんだ」と無意識で受け入れていました。その後、月日が経つにつれて状況が改善され、よく利用する出入口にもエレベーターが設置されました。
駅員に手助けを求めようという考えはありませんでした。頼むのに気を遣います。頼まなくて済む方法を考えていました。
こうした考え方の延長線に「折り畳む必要がある目的地は極力避ける」がありました。バリアフリーに対応していない経路や施設には外出しない様になりました。
折り畳むのが大変なのに加え、オムツ交換台等の設備が不十分である可能性が高い為です。一言で言えば「面倒くさい」です。
冒頭の日記を読んで、「活動領域を広げるには時には体当たり的な方法も必要」「多くに人は無意識の内に活動領域を限定しているのでは」「合理的配慮とは言え、急に頼まれた駅員は大変だ」「手助けを求めずに済む、軽い車いすは選べなかったのか」等と感じました。
私としては、たとえコストが掛かっても全ての駅にエレベータないし段差がない経路(スロープ等)を設置して欲しいですね。
今後はベビーカーはともかく、車いすや杖等を利用して移動する方は更に増えます。その都度に駅員等に助けを求めるのは非現実的です。助けを求めるのも心苦しいです。
であれば、やはり手助けがなくとも移動できる経路を整備する必要はあるでしょう。
エレベーターの設置がコスト面で難しいのであれば、ローコストで設置できるエレベーターを開発できないものでしょうか。2-3人乗りの小型エレベーターで十分です。
今後は「車いすやベビーカーの利用はご遠慮願います」という言い訳が正当化できる場面は減少していくでしょう。設備で対応できる物は、積極的に備えて欲しいですね。