昨年2月に大阪市城東区の保育所で発生した誤嚥死亡事故につき、検証部会から報告書が提出されました。

【ニュース】ゆりかご第二保育園(大阪市城東区)で発生した園児(1歳2か月)の誤嚥死亡事故、報告書が公表

これを受け、大阪市は保育所等への指導監督を強化します。

事故検証部会からは「日常にあるリスクを見つけ、対策を講じることが『保育の質の向上』につながる」として、「一人一人の子どもの発達に応じた保育の重要性」をはじめとして、「給食管理体制の確保と子どもの発達に応じた食事の提供」や「職員一人一人の危機管理意識の向上」、「保育の質の向上に向けた組織的な取組の強化」、「保育の質の向上につなげるための大阪市の支援強化等」の5つの提言を受けました。この事故を真摯に受け止め、再発防止に向けて保育者一人一人に届く実効性のある取組を実施します。

1 誤嚥事故防止の普及・啓発
施設へ事故報告書を周知 【令和3年1月15日(金曜日)送付済】
施設へ誤嚥事故防止の啓発【継続】
家庭への啓発用ビラの作成・配布 【新規】

2 施設指導監査(年1回)項目の追加
離乳食の進め方や誤嚥防止等に関する確認項目を追加 【拡充】

3 給食に関する手引き等の改訂・配付(令和3年6月予定)
誤嚥事故防止の留意点等を追加 【拡充】
様式等に追加 【拡充】

4 事故防止巡回指導の体制強化
施設への事前通告なしの巡回を継続(年1回以上)
課題施設への再訪及び改善の確認 【拡充】

5 保育の質の向上につなげるための仕組みづくり
事故を踏まえた研修の実施 【実施済】
新規開設施設へマニュアル説明会の継続
園内研修の支援(出前ミニ講座の実施)【新規】

https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000526188.htmlより作成

ぜひ子育て世帯の方にも読んで頂きたいのは、本件事故の報告書です。

事故に至った状況、給食の内容、事故後の対応、再発防止策等がコンパクトにまとめられています。

第6回 こども・子育て支援会議 教育・保育施設等事故検証部会(令和2年事例)会議要旨

大阪市教育・保育施設等における重大事故検証報告書(案)
大阪市教育・保育施設等における重大事故検証報告書【概要】

https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000525156.html

家庭レベルだと「要注意食材たるリンゴ・ブドウ・トマト等は小さく小さく切る」「食事の前にお茶や汁物で喉を潤す」「急いで食べさせない(残すのもOK)」というのが重要なポイントだと感じました。

2月4日に行われた市長会見でも取り上げられました。

https://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/cmsfiles/contents/0000499/499053/flip02.pdf

「誤嚥防止に気を付ける」という精神論だけでは、事故を防ぐには足りません。

保育所等の職員や家庭に訴えかけるには、事故の経緯・原因・対策等といった具体的な内容をコンパクトにまとめ、定期的に周知徹底及び指導等を行うのが重要でしょう。

具体例は忘れにくく、周知徹底を繰り返すと記憶に残りやすくなります。

批判される事も多い大阪市の保育行政ですが、事故に関する情報公開には極めて積極的です。不幸な事故が二度と起こらない様に、家庭でも保育所等でも気をつけたいですね。

なお、大阪市はコロナ禍における給食時の注意点等も指導を行っています。

毎日放送:毎日放送の美藤と申します。すいません、保育所の誤嚥事故の再発防止策などが提言された件なのですが、保育所、コロナによって今、給食時の対応、園児への対応なども変わっていると思うんですが、この辺り、今後の取り組みで留意している点などございますでしょうか。

松井:まずコロナ禍における保育所などにおける食事面での感染防止対策、感染拡大防止として、0歳児から2歳児クラスでは、職員は子供と一緒に食事をすることは避け、食事の介助に徹底をすることや、幼児クラスにおいては一方向を向く形で間隔を空けるなどの留意点で別途通知をしており、各保育所で日々対応をいただいています。

https://news.yahoo.co.jp/articles/72dc53cb2b4a87765694f240e261cc6ad6ea7a2d?page=2

「保育士と園児が一緒に食事を食べない」という対策は、他の自治体等でも行われていると聞きます。

沖縄県立中部病院の高山先生も「職員と園児は一緒に食べない」と警鐘を鳴らしています。

次いで、繰り返しますが、職員が園児と一緒に食べないことです。園児同士の食事は構いませんが、職員は別に食べるようにしてください。なお、園児の食事を手伝う職員は、事前に手指消毒を行い、手伝っている間は自分の首から上を触らないように心がけます。

https://news.yahoo.co.jp/byline/takayamayoshihiro/20201112-00207480/

本来は一緒に食事を食べながら指導等を行うのが理想的ですが、コロナ禍の今は難しいですね。

園児がワクチン接種できるメドは全く立っていません。保育所等におけるこうした対応は、来年以降も続けざるを得ないでしょう。