コロナウイルスの感染者が急増している京都市では、クラスターが発生した京都市立病院を見舞いに訪れた母親を経由して中学生の娘が感染し、更に部活や練習試合を通じて同じ中学校や他中学校の生徒も感染しました。
京都市では、八条中(南区)を含む3校の女子生徒5人がクラスや部活を通じて感染していることが判明。八条中ではすでに女子生徒3人の感染が確認されており、同中の関連で8人に上ったことで、市は集団感染の疑いもあるとみている。
京都市は18人の感染者を発表。うち、八条中の女子生徒3人と、安祥寺中(山科区)、京都京北小中(右京区)の女子生徒各1人の感染が分かった。5人は、27日に感染が発表された八条中の女子生徒の濃厚接触者。市教育委員会によると、八条中では23~25日、安祥寺中、京都京北小中を含む計3校と部活の練習試合を行っていた。試合に参加した生徒は4校で計約65人。感染者が出た3校は、18日まで部活を含めた全教育活動を中止する。
市教委によると、生徒8人は同23~25日に市内であった部活動の練習試合に参加。その後、生徒1人の感染が同27日に分かり、市は対戦した学校を含め、練習試合に参加した生徒46人のPCR検査(遺伝子検査)を進めていた。最初に陽性と判明した生徒の母親は、別のクラスターが発生していた市立病院(同市中京区)を見舞いで訪れ、感染が確認されていた。
八条中・安祥寺中・京北小中の3校は大きく離れた場所にあります。特に旧京北町にある京北小中は山深い地域にあり、八条中へ移動するのも大変な場所です。
発端は京都市立病院でのクラスター
発端は京都市立病院でのクラスター発生でした。
「院内クラスター発生」京都市立病院でコロナ計7人 21日から外来受け入れ停止
京都市立病院(中京区)は20日、新たに看護師3人と入院患者2人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。17日に感染が判明した看護師2人を含め、同病院関係者は計7人となる。これを受け、21日から全診療科で外来患者の受け入れを当面停止する。
この後、数日前に入院患者の見舞いに訪れた50代女性(444例目、中学生の母親)が感染していた事が26日に明らかになりました。
見舞客や同居家族が感染
翌日27日には、444例目患者の濃厚接触者たる高校生(459例目)と中学生(460例目)の感染が明らかになりました。
また、京都府教育委員会は27日、府立鳥羽高(京都市南区)の全日制の女子生徒1人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。
府教委によると、生徒は市内在住で25日夜に家族の陽性が分かった。濃厚接触者としてPCR検査を受け、27日に陽性が判明したという。全日制の全学年を28日に休業にして消毒作業などを行い、その後については状況に応じて判断するという。
京都市教育委員会は27日、八条中(南区)の女子生徒1人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。
市教委によると、家族の陽性が判明したことから26日にPCR検査を受け、陽性が分かった。
在校生の感染が明らかになった中学校はさぞ慌てたでしょう。中学生が発症した25日は4連休中の土曜日、その2日前の23日から25日かけて行われた部活の練習試合に参加していました。
同じ部活に参加した中学生に感染拡大
即座に同じ部活に参加した中学生等を対象にPCR検査を実施しましたが、日に日に感染者が増えていきました。
京都市が発表した感染者は、未就学児や小学生を含む市内の男女24人で、全員が軽症か無症状だった。27日に生徒1人の感染が判明した市立八条中(南区)で別の女子生徒1人の感染が新たに分かった。
葛野小(右京区)の児童1人と西京極中(同)、八条中(南区)の生徒各1人が陽性だった。八条中の感染者は3人目。
部活に参加した中学生は、まさか京都市立病院のクラスターが我が身にも影響するとは何ら考えていなかったでしょう。
どういった部活かは報じられていません。ただ、運動部で吹奏楽部であれ、活動中にマスクを着用するのは無理です。特にこの蒸し暑さ、熱中症で倒れてしまいます。
防ぐのは難しい
もしも市立病院でのクラスター発生に見舞った母親がいち早く気づけていたら、母親に何らかの症状が出て以降は部活への参加を控えていたら、時期尚早として他校との練習試合を組まずにいたら等、どこかで感染の伝播を食い止められるタイミングはあったかもしれません。
行動を控えるタイミングがあったとしたら、市立病院でのクラスター発生です。これが報じられたのは20日夜、京都新聞の21日朝刊には掲載されました。
この時点で「ひょっとすると感染しているかも?」と感じ、子供の登校を控えさせていたら部活での感染拡大は防げました。
ただ、これらを期待するのは難しかったでしょう。まだ見舞った先の患者や自身が発症していない段階で子供の登校を控えさせるのは困難です。
こうした感染が発生してしまうと、夏休み等に部活や練習試合等を行うのは非常に難しくなってしまいます。
コロナウイルスの感染拡大を防ぐには行動範囲や他人との交流を可能な範囲で縮小し、行動する際には万全の感染予防策を講じる必要があるでしょう。
身近な範囲でも「PCR検査を受けた」「近所の店の利用者が感染していた」という話を聞きます。どこで感染しても不思議ではありません。
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(8/2追記)三密類似環境、大声で飛沫が飛び交い、物を共有し、接触プレーも生じる、激しい部活の練習試合
「どのスポーツで感染したかを知りたい」「子供が部活動をしていて不安だ」との多くの声を聞きました。
そこで、どのスポーツで感染が広がったかを推測してみます。なお、部を特定して批難する意図は無く、「同種事例での感染拡大を防ぐ」という趣旨です。
上記新聞記事には「練習試合」とあります。「試合」が行われる部活だと考えられます。
部活を起点として感染したのは、実は女子中学生ばかりです。男女、もしくは女子のみで構成される部活で発症したのでしょうか。
https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000273/273293/200731oshirase(534-551).pdf
次いで生徒数が少ない京都京北小中学校(小中一貫校)の部活一覧です。
https://cms.edu.city.kyoto.jp/weblog/files/118101/doc/106046/3541310.pdf
野球部・陸上部・ソフトテニス部・卓球部・バレーボール部・剣道部・音楽部・美術部があります。
この中で「女子もしくは男女で構成され、試合がある」のは限られてきます。
ただし、女子ソフトテニス部は既に本大会が開始されています。同中の同部は23日に下京中学校にて洛南中学校と対戦したそうです。
4連休の初日23日(祝),夏季選手権大会が中止になり,各部で可能な代換の大会が始まりました。その先陣を切って,女子ソフトテニス部の団体戦が下京中学校で行われ,洛南中学校と対戦しました。
次は八条中学校の部活動です。wikipediaによると、下記部活動が行われているそうです。
部活動
体育系
陸上競技、ソフトテニス、野球、柔道、バレーボール文化系
吹奏楽、美術、フィールドサイエンス
また、安祥寺中学校から昨年度の実施された体育大会に参加したのは、サッカー・野球・ソフトテニス・バレーボール・バスケットボール・剣道・卓球・体操競技・硬式テニス部だそうです。
夏季選手権総合体育大会抽選結果
http://cms.edu.city.kyoto.jp/weblog/files/204002/doc/94982/3266854.pdf
これらの条件を満たす部活動は自ずと限られてきます。
これを裏付ける呟きもありました。
指摘されている部活は暑い体育館で行われる屋内球技です。
この競技はチームプレーなので、常に大きな声を出して意思疎通を図ります。無言やハンドプレイで行うのは難しいです。
また、短い距離での反復移動や跳躍が行われます。非常に激しく運動するので、口を大きく開けて呼吸を整えます。
更に複数人が同じボールを共有して球技を行います。ボールを持ちながら大声を出すと、その飛沫はボールに付着するでしょう。
時には接触プレイも発生します。ボールを取りに行ってチームメイトと衝突する事もあります。ソーシャルディスタンスは確保できません。
こうした運動が体育館で行われました。体育館の屋根が高くて窓を全開しても決して換気はよくありません。
つまり、三密に近い環境にて、大声を出して飛沫が飛び交い、激しく移動してボールを共有する運動が行われていたのです。
学校内での練習であれば、感染予防に気を遣いながら活動できたのでしょう。
しかし、他校との練習試合となると、「力を発揮したい、勝ちたい」という意識が強く働いてしまいます。感染予防意識が後退してしまうのが否めないでしょう。
今後は同種事案の発生をどうやって防ぐかが焦点となります。その為にも、まずは行われた部活動を公表し、各地へ注意を促すべきではないでしょうか。
学校名が公になっているにもかかわらず、部活の種類が出ないのはどうしてなのか?バスケットボールのように屋内で相手と接触もありうる種類なのか、コートの半分で分かれているバレーボールなのか、屋外のサッカーなのか、離れたコートで体から離れたラケットで打つテニスでも感染したのか、卓球なのか?それがわからなければ他校も今後の対策を立てたくてもどう立てるか判断のしようがない。こんな重要なことさえも公表せずに終わらすなんて何考えてるのか、事の重大性がわかっていないにもほどがある。よほど全国の学生を早いうちに集団感染させて免疫を付けさせようという考えなのか?