千葉県流山市で保育園を運営する社会福祉法人南流山福祉会(西臣正男理事長)が、2年間に渡って決算報告書を提出していませんでした。

自治体から交付される運営費の内、5000万円以上を私的に流用した疑いが持たれています。

https://www.youtube.com/watch?v=XHpu296p59k

使い道報告しないまま10億円超の「助成金」受け取る[2019/06/24 11:58]

千葉県や東京都で保育園を運営する社会福祉法人が使い道を報告しないまま、2年間にわたって運営費などとして自治体から合わせて10億円を受け取っていたことが分かりました。

社会福祉法人・南流山福祉会は法律で義務付けられている決算報告書を2015年度分から2年、提出せず、指導・監督する千葉県から是正勧告を受けていました。その後、2016年度分までは提出しましたが、2017年度分以降は提出していません。流山市などは、こうした事実を把握しながら運営費などを交付し続けていました。額は2年間で10億円を超え、このなかには保護者が払う保育料も含まれています。

保育園に子どもを預ける親:「(支払った保育料がしっかり)子どもの保育に使われているかどうか疑問に感じます。きちんと指導しない行政も法人以上に責任があると思います」
ANNの取材に対し、千葉県は「法人が預かっている園児に影響が出るので助成金を止めることはできない」としています。法人の代表は「2017年度以降の決算報告書は領収書の紛失などで遅れているが、現在、作成している」などとコメントしています。

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000157843.html

私的流用か ずさんな実態明らかに 社会福祉法人[2019/06/25 20:28]

ずさんな運営実態が明らかになってきた。千葉県などで保育園を運営する社会福祉法人が自治体から受け取った運営費の一部を食事代など私的に流用していたとみられることが分かった。

一言で言うと、税金が個人的に使われた可能性があるという話だ。その舞台は保育園。社会福祉法人「南流山福祉会」。千葉県流山市と東京・足立区で3つの保育園を運営している。
この法人が抱える問題の1つ目。それは、法で義務付けられている決算報告書をなかなか出さないこと。2017年度以降の分は今も未提出のままなのだが、驚くのはこのことを知っていながら行政が助成金の交付を続けていることだ。その総額は2年で10億円を上回る。

問題の2つ目。ANNが入手した決算報告書の草案を見てみると支払先のなかで目を引くのがそば屋に回転ずし、さらには家電量販店、100円ショップまで。これら、私的な流用とみられる出費が2年間で合わせて1200回以上。5400万円を超えているのだ。

そして、最も気になるのが保育園への影響。保育園に給食用の食材を納める業者も異変に気付いていた。そして、関係者が一様に批判するのは福祉会だけでなく、それを監督する行政の姿勢だ。

南流山福祉会の元幹部:「なぜ3年間、これだけの法人の使い込みを知りながら、なぜ指導も改善もしなかったのか」

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000158003.html

数年前に億円単位に上る私的流用が明らかになった、夢工房みるく保育園を思い出しました。

社会福祉法人・南流山福祉会は、流山市でなかよし保育園を、そして東京都足立区で日ノ出町保育園新田三丁目なかよし保育園を運営しています。

過剰な飲食代・手土産・交際費等

テレビ朝日の報道によると、運営費の一部が飲食費(焼き鳥・寿司・イタリア料理店)、雑貨(百貨店でのコート代や紳士雑貨)等に利用されていました。

平成28年11月には、東京都足立区の調査委員会が答申文を作成していました。

過剰支出の疑いがある飲食代・手土産・交際費等が列挙されています。幾つかご紹介します。

http://www.gikai-adachi.jp/iinkai/shidai/soumu/pdf/20161206houkoku3.pdf

答申文では「サービス残業している職員への夜食代」と記載されていますが、ピザと焼き肉ばかりですね。

小動物をペットショップへ売却?

また、園児保護者から「園でかわいがっていたウサギ・カメ・鳥達が、ペットショップに売り飛ばされた」「ザリガニや魚が死んでしまった」と指摘されています。

テレビ朝日では「花壇が荒れ果てた」「植物栽培が行われなくなった」と報じられていました。

混乱が続く運営

実は南流山福祉会では、理事長の座を巡る争いが繰り広げられていました。

平成28年度の計算関係書類等は、理事長の座を巡る争いなどの混乱で作成されずにいた
同会監査報告書(平成30年3月19日)より

しかし、その後も園運営は混乱し続けている様子です。

以前に園長先生が無理矢理辞めさせられる騒動がありました。

上記監査報告書によると、未払い賃金を巡って社会福祉法人と争いになっているそうです。

流山市議会でも取り上げられています。

◆15番(阿部治正議員)

保育行政について。
(1)市内保育所において、園長と副園長への賃金の未払いが続き、解雇問題、園長交代の動きなどが発生している。このことについて以下の点を問う。
ア、賃金未払い、解雇、園長交代の動きなどがなぜ生じたと捉えているか。
イ、市当局はこの問題に対してこれまでどのような対応を行ってきたか。
ウ、会計や経理を含め、さまざまな問題が生じていると言われる事業所に対し、市の補助金の支出は適切と考えているか。
エ、問題解決のために、市はどのような対応を行う考えか、お願いします。

流山市 平成31年  3月 定例会(第1回) 02月22日-05号

私的流用に経営権を巡る争いが絡み、非常に難しい事態になっています。保育園や社会福祉法人が安定的に運営されているとは言い難い状態です。

報道や報告書を読んでも、何が起きていて、どこに原因があるのか理解するのは困難です。夢工房やみるく保育園の様な、単純な私的流用とは異なるケースです。

混乱した園運営は、職員の規律にも影響を及ぼしました。

実は昨年2月、児童ポルノ画像を隠し持っていた疑いで同保育園に勤務する保育士が逮捕されていました。

 逮捕されたのは、流山市南流山のなかよし保育園勤務の保育士、飯島貴弘容疑者(29)。市などによると、流山署が5日朝から飯島容疑者の自宅を捜索。ポルノ画像が記録された画像媒体が複数見つかり、携帯電話にも児童が複数人写っていた。飯島容疑者は画像所持を認め、5日夕、児童ポルノ禁止法(単純所持)容疑で逮捕されたという。

https://www.sankei.com/affairs/news/180208/afr1802080003-n1.html

被害者は園児・保護者

一般的には、こうした保育園は保護者から選ばれにくいです。

しかし、流山市では子育て世帯が急増しており、深刻な待機児童問題が生じています。「母・父になるなら流山市はやめろ」と言われたぐらいです。

【6/13追記】「母・父になるなら流山市はやめろ」と「大阪市中心部で子供急増・教室不足」

こうした事態による被害者は、園児や保護者です。

保育士が保育に専念できない保育園は、少しずつ荒れていきます。花壇が枯れ、動物がいなくなり、行事が減り、ゴミが溜まっていきます。現在進行形で生じているのでしょう。

行政が積極的に介入しない限り、混乱した園運営は続くと感じました。