吹田市で交番が襲われた事件は、17日早朝に被疑者が逮捕されました。

【吹田拳銃強奪・6/16 7:00】飯森裕次郎容疑者を逮捕!小中学校や幼稚園は開校!

吹田市・大阪市を初めとする多くの教育委員会は「朝7時までに確保されたら開校、9時までに確保されたら繰り下げ、確保されなかったら休校」との判断を示していました。

被疑者が朝7時までに確保・逮捕されたので、授業は予定通りに行われています(一部学校は繰り下げ、休業、弁当持参等)。

ただ、こうした判断に至るまでには様々な問題があり、多くの子育て家庭が振り回されました。

特に規模が大きく、我が家が住んでいる大阪市は顕著でした。振り返りつつ、改善すべき点を指摘します。

吹田市・吹田市等は早急に休校決断

真っ先に学校等を休業する判断を示したのは、吹田市でした。市長が9時55分にツイートしました。

続いて大阪府知事が13時27分にツイートしました。

これらを受け、朝日新聞(14時53分)が報じています。

外出自粛や公共施設閉鎖…警官刺傷、大阪が厳戒態勢

2019年6月16日14時53分

(中略) 府は16日、府幹部による緊急会議を開催。容疑者の身柄が確保されなければ17日は吹田市や大阪市の一部など11市町の府立高校・支援学校を自宅待機や休校にすることを決めた。吉村洋文知事は府庁で記者団に「不要不急の外出を控え、安全確保を大事に行動をお願いしたい」と述べた。

また、吹田市は午前8時半から1時間おきに防災行政無線で市民らに注意喚起。市の休日急病診療所をのぞき、公民館や図書館、体育館の臨時休館を決定し、小中学校のクラブや課外活動も中止した。17日午前7時時点で容疑者の身柄が確保されていない場合は小中学校は臨時休校とし、同9時時点で確保されれば授業を再開するという。

箕面市も小中学校や図書館などを閉鎖。病院の救急外来や葬祭場などを除く市内すべての公共施設を閉館した。摂津市は小中学校、幼稚園・保育所に子どもを通わせる保護者に緊急メールを配信。市内すべての小中学校で容疑者の侵入を防ぐため校門を閉鎖した。高槻市は市のホームページと公式ツイッターで外出の自粛と不審者情報の提供を呼びかけている。

高槻、茨木両市とも、17日の小中学校臨時休校の検討も始めた。(以下省略)

https://www.asahi.com/articles/ASM6J45W1M6JPTIL017.html

事件が発生した吹田市及び被疑者が逃走した可能性があった(実際に逃走・逮捕された)箕面市は、早々に翌日の休校を決定しました。事後的に見ても、非常に的確な判断でした。

一方、上記記事は大阪市に触れていません。北摂地域ではないものの、事件が発生した千里山駅から大阪市東淀川区は阪急電車で目と鼻の先です。

対応を検討した摂津市・高槻市よりも、大阪市の方が遙かに移動しやすいでしょう。

しかし、大阪市の対応は非常に遅れました。学校から独自に「明日は気をつけて登校して下さい」と連絡があったのみです。

事件後も応援演説で東京にいた大阪市長

考えられる理由の一つは、松井大阪市長が大阪を不在にしていた為です。参院選へ向けた演説の為、東京にいました。


https://o-ishin.jp/schedule/2019/06/

少なくとも16時過ぎに蒲田駅前で演説をしていたと確認できます(上記動画より)。既に各市が緊急対応している最中でした。

学校等を休校する判断は、一義的には教育委員会が行います。首長がストレートに指示できるものではありません。

ただ、こうした重要な判断を、教育委員会が独自に決定するのは難しいでしょう。事前に首長の同意を求め、かつ決定後に首長が積極的に情報発信するものでしょう。

市長が不在だった大阪市はこうした判断や対応が取れず、後手後手に回りました。吹田市・大阪府等との違いは否めません。

松井市長が大阪を不在にしていると言う話を聞いた直後、「夜遅くに判断が変更される可能性が否定できない」と感じました。警戒心を持ちました。

判断・連絡が遅れた大阪市教委

嫌な予感が的中しました。休校する判断がウェブサイトに掲載されたのは、何と19時40分でした。晩ご飯を終え、明日の授業準備をしている時間帯でした。

報道発表資料 吹田市で発生した事案に伴う学校園の臨時休業措置等について

令和元年6月16日 19時40分発表

令和元年6月16日(日曜日)早朝に吹田市で発生した拳銃強奪逃走事件に伴い、犯人が捕まっていない場合には、集団登下校や地域の見守り、パトロールの強化、部活動朝練の中止等の幼児児童生徒の安全確保の方策について教職員・地域等と連携して進めるため、明日17日(月曜日)については、大阪市立学校園では次のとおり対応します。

https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/kyoiku/0000473408.html

全ての学校園を一括して休業する措置(包括的管理権?)としたのは、各校長に判断を委ねて対応が割れた大阪北部地震の反省が活かされたのでしょう。

【大阪北部地震・6/24追記】大阪市長の「休校指示ツイート」で保護者・学校・市教委混乱? 時系列まとめ

ただ、これをウェブサイトに掲載しただけで誰が気づくでしょうか。私が気づいたのは1時間ほど後、ツイッターのRTでした。子供は寝るだけのタイミングです。

どう考えても遅すぎます。翌日の予定のリスケ、翌週以降への影響、今からじゃ間に合わない!。様々な重い思いが頭をよぎりました。

学校から各家庭への連絡は、年度始まりに登録した「緊急メール」が利用されています。日曜日も何通かメールがあったので、先生方が休日出勤されていたのでしょう。

一方、教育委員会から各家庭へ直接連絡するにはツイッター等が利用されています。しかし、これがツイートされたのは21時40分でした。

日曜夜の2時間のタイムラグは深刻です。既に寝てしまった家庭もあるでしょう。決定後、即座にツイートすべきでした。

また、各学校が運用している緊急メール機能を利用して、市教委が登録世帯へ一括して緊急メールを送信できると便利です。カスタマイズしてでも実装すべきです。

大阪市立保育所は開業

大阪市教委が示したのは、大阪市立学校園(高校・中学校・小学校・幼稚園)の休校のみです。

少し遅れて、いきいきの休業・市立保育所の開所がウェブサイトに掲載&ツイートされました。

学校・幼稚園と保育所の判断が割れたのは、担当部署や施設の目的が異なる為でしょう。保育所はこども青少年局が管轄しています。

しかし、働いている保護者の観点は、どちらも「子供達が日中を過ごす場所」です。それを前提として、勤務スケジュール等を決めています。

子供が学校や幼稚園へ通っている家庭でも、働いている保護者は年々増えています。

にも関わらず、学校・幼稚園と保育所で異なる判断をしたのは、腑に落ちないと感じてしまいます。合理性を見いだせません。

強いて言えば、登下校・登降園の安全性でしょうか。でも、保育所も幼稚園も保護者が一緒に登園するのは同じです。判断基準はどこにあるのでしょうか。

また、保育所が開所しても不安はつきまといます。こんなコメントを頂きました。

大阪市のHPによると明日、市内の保育所は通常通り実施のようです。いつものように子どもを預け、いつものように仕事に行っていいものか、はなはだ不安です…。台風のように起きた地域周辺だけ休校でいいのでしょうか。むしろ逃走して違う地域に行くのではないかと考えてしまいます。

https://yodokikaku.net/?p=26901

「預けた施設が拳銃で襲われたらどうしよう」と言う不安は、私も感じていました。

独自判断する私立幼稚園・私立保育所

更に複雑化するのは、各施設が独自に判断する私立幼稚園や私立保育所の存在です。

大阪市立学校園と同じ判断を示した施設、自宅保育を要請した施設、何に連絡もない施設等、様々な対応事例がありました。

大阪市の私立こども園ですが、通達により1号は休園、2号3号は極力自宅待機要請が来ました。夜の23時です。こんな時間に、園も大変と思いつつ、こちらもやりくりにちょっと困っています。小学生もいるので休ませるしかないのですが、連日家に閉じ込めておくのも大変で思いやられます…

子の利用している民間保育園からは、緊急連絡メールシステムがありますが何の連絡もありません。

開園しても休園しても大変です。一保護者としては、方針を出来る限り早く知らせて欲しいと思います。

23時に自宅保育を要請する連絡があっても、何も出来ません。連絡が無いと不安になるので、「通常通りです」の一言だけでも連絡が欲しいです。

昨年の大阪北部地震や台風被害を受け、お世話になっている保育所では緊急時の連絡方法が確立されました。

メール等で連絡してもらえるのが一番ですが、個別に電話して問い合わせるのに比べたら進歩しています。

朝6時34分に逮捕、迅速な連絡あり

今朝5時過ぎ、目覚めて一番にネットニュースを確認しました。「今日は子供と一緒に過ごすかぁ」と割り切り、テレビニュースを見ながら今日の段取りを組んでいました。

そうした中、6時45分頃に「犯人確保」、6時55分頃に「犯人逮捕」というニュース速報が流れました。休校・休園(登校・登園見合わせ)する基準時は7時です。

「えっ、7時前、今日は通常通り???」と頭がぐるぐるしました。

学校関係者から「今日は通常通りに授業を行う」と聞き、緊急メールや学校日記にも「授業あります」と書かれていました。保育所も同じ対応でした。

早朝から出勤したのか泊まり込んだのかは分かりません。休校・開校する判断に備え、担当職員が在校していたのでしょう。報道後の対応は迅速でした。

残念がっていたのは、休みだと思い込んでいた子供です。「今日はいつも通りだよ!」と起こしました。

昨日から今朝にかけ、ひたすら休校・休園情報に振り回されました。

何はともあれ、逮捕されてホットしました。明日も休校・休園するとしたら、スケジュールが破綻するところでした。

6/19追記:大阪市長会見(6/17)がありました

被疑者が逮捕された6月17日、大阪市の松井市長の囲み会見(短時間)がありました。

記者が休校対応について質問しています。要旨をご紹介します。

記者:市立小中学校に休校についてですが、朝捕まっていなければ休校するという判断が午後8時前ぐらいに行われたと思うのですが、時間についてはもうちょっと早くすべきだったのでは、そういう・・・・

市長:今回の休校措置は、長期間に及んだ場合の安全確保ですから、教育長が各学校、保護者の皆さんといろいろ協議した上で決定していますから、判断に間違いは無かったと思っている。

記者:各学校で可能な範囲で連絡を取るという事で、夜、メールだったりで連絡を回したのですが、もうちょっとせめて早ければ、保護者とかも次の日の措置について話し合えたのかなと思うのですが。

市長:今になってこうすれば良かったといろいろあると思うのですが、これは緊急事態の措置ですから、終わってみればこうすれば良かったというのはあるかもしれないが、職員は緊急事態に対して全力を尽くしたと思っている。

残念ながら、質問と回答がかみ合っていないと感じています。

緊急事態に対して「休校する」と決定した判断については、多くの方が「当然だ」ないし「やむを得ない」と考えているのではないでしょうか(私もその1人です)。
記者が訊きたかったのは「もっと早く休校を決定・公表すべきだったのでは、できなかったのか? 大阪府や吹田市はできたのに。」という内容でしょう。

これに対し、市長は正面から答えていません。訊ねているのは判断の是非ではありません。

強いて言えば、「教育長が各学校や保護者等と協議していたので、時間が掛かった」と返答したと捉えられます。ただ、本当に協議したのかはブラックボックスです。

なお、市長が最後に発言した「終わってみればこうすれば良かったというのはあるかもしれない」という内容は、箕面山中で逮捕された事実と矛盾しています。

今となっては「被疑者は大阪市内へ逃走していなかったのだから、休校・休園措置は不要だった」と言えます。しかし、月曜朝までは必要な措置でした。

大阪市教委の判断の遅れや混乱は、昨年の大阪北部地震や台風襲来でも目立ちました。残念ながら、1年前の反省が活かされませんでした。

本事案に対しては、市職員・教員は全力を尽くしたのでしょう。日曜日でも学校から連絡があったのは一つの証左です。

しかし、果たして松井市長は全力を尽くしたのでしょうか。緊急事態であれば、東京で演説している場合ではありませんでした。