改善勧告・改善命令が発せられ、土壇場に追い込まれているのが高等森友学園保育園です。
同園では先月まで多くの空きが生じていました。高等森友学園(淀川区)で多数の入所辞退者が発生かによると、4月1日時点では1-4歳児で合計17名分の空き(募集枠)が存在していました。
しかし、何と5月の募集枠は「ゼロ」になっていました。
高等森友学園の5月入所可能数はゼロ
まさか数多くの申込みがあり、全年齢の定員が埋まってしまったのでしょうか。1-2歳児であれば可能性がありますが、3-4歳児が1カ月で埋まるとは考えにくいです。
あくまで推測ですが、大阪市として「保育士が不足している保育所へ園児を入所させるわけにはいかない」という自粛意思を表したものだと考えられます。
4月末で退園し、他の保育所等へ転所した児童もいるでしょう。同園の園児が増える見込みは立たず、経営は更に厳しくなりそうです。
もう一つ明らかになったのは、淀川区で入所可能数が急減している事実です。4月ではチラホラ見かけた0-2歳児の入所可能数が激減しています。恐らくは隣接する西淀川区も同様の傾向でしょう。
同園周辺エリアの入所可能数は、ひかり保育園(2歳児)を除いて全く無くなってしまいました。「転園したくても転園できない」という状況が顕著になりました。
例年と比べ、淀川区の待機児童問題は著しく深刻になっていると推測されます。昨年・一昨年は夏前までは0歳児の途中入所も可能だった気がしますが、今年は絶望的です。
森友学園問題が他の入所希望者にも及んでしまいました。とんだとばっちりです。
事業停止命令による単純な閉園は困難か
大阪市は所定の保育士を確保できない限りは6月1日に事業停止命令を発し、同園の運営を停止させる意向を示しています。
しかし、仮に閉園させた場合、多くの園児が保育の場を失ってしまいます。大阪市は「優先的に転所できるようにしたい」という考えを表していますが、入所募集を行っている転園先が全くありません。
大阪市が閉園を強行した場合、保護者から強烈な反発が湧き起こると予想されます。翌日からの保育・仕事に支障が生ずるのだから、当然の反応でしょう。
一つの落としどころは何度も大阪市が用いていた手法、つまり「経営体制の抜本的変更」です。
高等森友学園は社会福祉法人肇國舎が経営しています。塚本幼稚園を経営する森友学園とは別法人です。理事長等を入れ替えても、森友学園に直接の影響はありません。
この場合、理事長等は大阪市OB・大阪市職員へ入れ替え、市(もしくは外郭団体)が保育を継続派遣するとなるでしょう。
また、保育園の運営を第三者へ全面的に委託・委任する方法も考えられます(法令上、難しいかもしれませんが)。
問題が長引いた場合、平成30年4月の一斉入所まで掛かる恐れもあります。一斉入所、もしくは年度途中に新しい園ができるタイミングであれば、全園児の転所調整は可能性でしょう。
従来通りの「6月1日事業停止命令・閉園」という方針は、実現困難です。「園児の転園斡旋は市が頑張りますが、保障できません」と放り出すわけにはいきません。
大阪市はどの様な回答を見つけるのでしょうか。