平成29年度保育所等一斉入所申込状況分析、第9回は福島区を取り上げます。

なお、同区に関する過去の分析記事は「検索:福島区 分析」から、その他の昨年の分析記事はH28申込分析H28結果分析からご覧下さい。大阪市子育て支援施設マップ(非公式)も役立つと思います。

※11月4日に発表された数字に基づきます・保育士優先利用数は申込者数に含んでいます

大阪市から発表された平成29年度保育施設利用申込状況に基づき、区別・年齢別・年度別の申込数・募集数一覧表を作成しました。
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昨年より入所倍率が0.1倍以上増加した箇所はオレンジ・0.1倍以上減少した区は水色・入所倍率が2倍を超えた箇所は赤・保育士優先枠が存在する申込欄は薄緑で表示しています。

申込数が70人増・1歳児と3歳児がやや厳しい

福島区の入所倍率は昨年の1.14倍から若干上昇して1.19倍となりました。H25は1.72倍という高い入所倍率でしたが、毎年の様に数多くの保育所等を設置しており、入所倍率は低下傾向にあります。

区全体の募集数は昨年から39人増えて503人となりました。新設される新福島ちどり保育園が84人とまとまって募集を行います。

一方、申込数は急増しています。70人増えて601人となりました。0歳児が34人増えて173人、1歳児が29人増えて237人、3歳児が10人増えて72人となったのが目立ちます。

入所倍率では1歳児が1.57倍、3歳児が1.50倍と高めです。とはいえ隣接する北区より若干低く、西区と比べると低い水準に留まっています。入りやすいとは言い難いものの、都心部へ通勤しやすい地域の中では比較的入所しやすい地域に入るでしょう。

0-1歳児の申込数が増えたのは、タワーマンション等の新築によって転入する共働き子育て世帯の増加が主な理由でしょう。共働きでなければ購入に踏み切れない価格帯です。タワーマンションには保育所併設を義務づけるべきかもしれません。

3歳児は地域型保育事業の卒園児が関係している可能性がある一方、H25-H26の水準に戻っただけとも言えます。原因を掴みかねています。

玉川地域はひばり保育園・あい保育園玉川が高倍率

福島区で最も入所倍率が高いのは、ひばり保育園の4.33倍でした。同保育園の入所倍率は毎年2倍を超えています。H29は募集数18人に対して78人が第1希望としています。

この地域は下福島公園・大川沿いに多数のマンションが建設される一方、保育所は一つしかありません(他に地域型保育が2箇所)。その為、必然的にひばり保育園を第1希望とする方が多くなる構造です。

しかし、募集が行われるのは0-1歳児のみの予定となっています。昨年は2-5歳児でも募集が行われており、何らかの変化が窺えます。

0歳児は募集数9人に対して26人が第1希望、そして1歳児は募集数9人に対して33人が第1希望としています。0-1歳児の入所倍率は約3倍です。フルタイム共働きでも入所できるか分からない状況です。

ひばり保育園を第1希望としている方では、第2希望として阪神高速の反対側にあるあい保育園玉川を考えている方もいるでしょう。こちらも募集数16人に対して38人が第1希望、入所倍率は2.38倍と高くなっています。

特に厳しいのは1-3歳児です。1歳児の入所倍率は6.33倍、2歳児は2倍、3歳児は4倍となっています。今後、ひばり保育園を第1希望としている2-3歳児の一部は、あい保育園玉川を第1希望に変更すると考えられます。倍率は更に倍増してしまいそうです。1-3歳児入所は大きめの加点がなければ困難でしょう。

また、両保育園は西区からも登園可能な範囲にあります。西区北東部は保育所不足が市内で最も深刻な地域の一つです。西区から梅田方面へ通勤するのであれば、異動に伴う時間ロスは最小限で済みます。

入所するのが非常に厳しい両保育園ですが、周囲には他に多数の保育所・小規模保育が存在します。どんぐりこ福島吉野保育園・英風保育園等、多くはここ数年の間にできました。

来年4月には吉野1丁目に新福島ちどり保育園が開所する予定です。全年齢で第1希望者が募集数を下回っています。第2希望以下で記入している人が多いのでしょう。

鷺洲地域は第二和光園に希望集中・2年後に大規模マンションが完成予定

次は北区に近い鷺洲周辺を見てみます。この地域では、保育所第二和光園を第1希望とする方が多数います。募集数22人に対して第1希望が83人もいます。入所倍率3.77倍です。

0-4歳児は全て3倍を超えています。全ての年齢で何らの加点が必要となってしまいそうです。特に2歳児は保育士優先枠での申込があるので、募集数は実質的に1人のみです。

系列の保育所和光園も高倍率です。特に2-3歳児が厳しく、何らかの加点が必要となる可能性があります。反面、募集数が多い0-1歳児は第二和光園よりやや入りやすく感じられます。今後、両園で希望を変更する方が発生するのではないでしょうか。

今後、この地域で懸念されるのは、大規模マンションによる子育て世帯の急増です。例えば塩野義製薬の研究所跡地では、約850戸が入居するマンション「リバーガーデン福島 木漏れ日の丘」の建築が進んでいます。他にも多数のマンションが建設されています。

今後、和光園・第二和光園や海老江地域の保育所等だけでは、保育需要に応じきれないのは必至です。北区大淀地域の保育所に登園する選択肢も候補となるでしょう。玉川地域だけではなく、鷺洲地域への保育所設置が望まれます。

西九条地域はふじのもり保育園が高倍率

福島区内では西九条駅を利用している方も少なくないでしょう。この地域では、ふじのもり保育園を第1希望とする方が多数います。募集数10人対して34人が第1希望としています。

年齢別に見ても厳しい状況です。0歳児は2倍・1歳児は3.67倍・2歳児は募集無し・3歳児は4倍です。0歳児はフルタイム共働きでも分からない、1歳児・3歳児は何らかの加点が必要ではないでしょうか。

この地域では此花区内の保育所も候補となります。たとえば勢至学園西九条園です。0-1歳児の入所倍率は1倍前後と高くありません。とはいえ、西九条駅周辺の保育所はユニバーサルティ駅周辺からの登園者もいます。ターミナル駅の周辺は広範囲から集まりやすいとも言えます。

地域型保育事業の1歳児の希望者も多い

ここまではずっと保育所の募集数・申込数を見てきました。一方、地域型保育事業を第1希望としている方が少なくありません。特に1歳児クラスが顕著です。

ざっと見た限り、約半数の地域型保育事業の1歳児クラスでは、募集数以上の第1希望が集まっています。点数・設置場所・3歳児募集数等を鑑みて、地域型保育事業を第1希望としたのでしょうか。

福島区内の1歳児は80人以上が入所保留となる見通しです。他区以上の勢いで保育所等の新設を続けてきましたが、それ以上のペースでマンションが建築されています。今後の行き先が少し心配です。

「3歳の壁」は全くの新規入所希望者を直撃

気になるのは3歳児以降の保育、すなわち「3歳の壁」です。卒園児の保育先を確保する観点から、行政は「連携施設」の設定を促しています。しかし、負担の重さ・保育士確保の難しさ・経営者が異なる施設同士の連携の難しさ・文化の違い等から、思うように進んでいないのが実情です。

では、保育所等での3歳児募集数はどうなっているのでしょうか。保育所新設による一括募集を除外し、純粋に既設園の募集数と集計してみました。福島区は下記の結果となりました。

入所年度申込数募集数一括分を除く募集数新設保育所
H257335
H26754219あい保育園海老江
H271004023あい保育園玉川
H28625339どんぐりこ福島吉野保育園・英風保育園
H29724832新福島ちどり保育園

例年、3歳児募集数の1/3~半数弱は新設保育所の一括募集が占めています。仮に新設が行われない場合、3歳児募集数は急激に落ち込むと予想されます。

特に新設園は3歳児募集数(3歳児クラスと2歳児クラスの定員差)が少ないのが特徴的です。保育所を新設しても、3歳児募集数の増加に結びついていません。

つまり、地域型保育事業の新設に見合う形での保育所新設が行われていないのが実情です。「3歳の壁」対策は、ほぼ何も行われていません。従来から少なかった3歳児入所枠へ、地域型保育事業の卒園児と全くの新規入所者が殺到する構図です。

とはいえ、卒園児は6点加点があるので相対的に入所しやすいでしょう。本当に厳しいのは全くの新規入所者(認可外在籍者を除く)です。現在の募集数・選考システムを鑑みると、福島区のような地域で2歳まで家庭保育を行い、3歳児から保育所へ入所するのは極めて困難です。

今後の予定&お願い

今後は西区(特になにわ筋一帯)、都島区、東淀川区、此花区(特に高見・伝法東部)、住吉区、港区(特に波除地域)、城東区(中央区に近い地域)、住之江区、旭区、東住吉区に関する内容を掲載する予定としています。

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