大阪市は「お米券」のではなく、過去の経験が活かせる「プレミアム付き商品券」を発行する方針です。
大阪市は4日、物価高対策として「プレミアム付商品券」を発行することを発表した。高市早苗内閣が決定した総合経済対策に盛り込まれた「重点支援地方交付金」の使途として、横山英幸市長が記者団に明らかにした。横山氏は「多くの市民がやってくれてよかったと実感できるような事業とした」と説明した。
市では令和5年にも、1万円の購入で1万3千円分の買い物ができる商品券を440万口販売。今回は前回の発行枚数と同等以上の規模となる見込みで、価格や実施時期については市議会での議論を経てから明らかにするという。
重点支援地方交付金の使途は各自治体の判断に委ねられている。政府は食料品高騰対策で自治体に発行を促す「おこめ券」の配布を後押ししているが、一部の自治体からは「事務経費の負担が大きい」などとして反発の声が上がっていた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4b2d63cb946c7a66e0572a9f4a150785cf88c3d1
妥当かつ無難な方針です。
大阪市は過去に何度もプレミアム付き商品券を発行した経験があります。
| 事業名 | プレミアム率 | 主な利用期間 | 発行数 | 実施の背景・特徴 |
| 大阪市プレミアム付商品券2026? | ? | ? | 440万口以上? | 重点支援地方交付金を活用する。 |
| 大阪市プレミアム付商品券2023 | 30% | 2023年12月11日〜2024年5月31日 | 440万口 | 物価高騰対策。1口10,000円で13,000円分(紙券・電子券)。1人4口まで。 |
| 大阪市プレミアム付商品券2022 | 30% | 2022年11月1日〜2023年2月28日 | 295万口 | 新型コロナウイルス感染症や物価高騰の影響を受けた市内小売店等の支援、非接触決済の推進。1口10,000円で13,000円分。 |
| プレミアム付商品券(国事業) | 25% | 2019年10月1日〜2020年3月31日 | 134万口 | 消費税率引き上げに伴う家計への影響緩和と地域消費の下支え。低所得者・子育て世帯が対象。1冊4,000円で5,000円分。 |
| 大阪市プレミアム商品券(2015) | 20% | 2015年夏(7月頃) | 130万口 | 国の交付金を活用した消費喚起策。当初予定より時期を早めて実施。 |
商品券というと紙媒体を想起しがちですが、2023年に発行したプレミアム付商品券は紙媒体と電子商品券の両方を利用出来ました。
当選ハガキを利用してコンビニで購入した商品券、もしくは商品券IDを取り込んだスマホアプリ(RegionPay)を小売店の店頭にて提示しました(後者は大阪府お米クーポンと同じ)。スマホが利用出来る方はアプリが便利ですし、スマホを持っていない方でも紙の商品券として利用出来ます。高齢者にも優しい制度設計です。
前回、我が家は上限まで申し込みました。3,000円 x 4口 x 世帯人数分のプレミアムはお得感が非常に強かったです。物価高騰前でしたが、商品券の殆どは食料品の購入で利用した記憶があります。
今回も前回同様の条件で発行されるのであれば、標準的な子育て世帯が上限まで購入しても食費で使い切れます。もしも食費で使い切れなくても、大阪市内には商品券を利用出来る店舗が無数にあります。何かしらの買い物で利用できます。
課題もあります。13,000円分の商品券を購入するには1万円が必要です。この「1万円」が準備できなければ、商品券を購入できません。ましてや4口分の「4万円」を準備するのは更に大変です。
前回は申し込んだ全口数を同時に購入する必要があったと記憶しています。「4口」で申込・当選したら、コンビニで4万円を支払うのみでした。「今回は1口だけ」といった購入はできなかったと思います。
政府は「お米券」の利用を強く促していますが、大阪市の様な大都市で各世帯・住民にお米券を配布するのは物理的に困難でした。誤りなく配布・交付するには膨大な手間暇や費用が掛かります。
店舗で利用する際にも問題があります。大阪市内の標準的なスーパーマーケットでのお米の価格は、5kgで4,500~5,000円です。お米券を10枚持っていっても、5kgのお米が買えません。お米券を出し、不足分は現金で支払い、お釣りを貰うのは手間が掛かります。
大阪・関西万博で体験した「キャッシュレス」とも矛盾します。現金を排除した万博会場内ではレジの回転が非常に速かったです。もしも現金を排除していなければ、買い物を待つ長蛇の列は更に長くなっていました。現金以上にアナログ色が強い「お米券」は大阪では著しく敬遠されるでしょう。
重点支援地方交付金として大阪市に配分される金額は明らかになっていません。ただ、人口14万人の大阪府箕面市に8.2億円が配分される見通し(箕面市長ツイッター)なので、人口約280万人の大阪市へは約160億円が配分されると考えられます。
この金額は2023年に発行したプレミアム分(132億円)を上回る金額です。予算面でも「前回と同等以上の規模」が裏付けられています。
発行時期はいつになるのでしょうか。補正予算案は12月市会に間に合わないでしょう。2月市会へ提出・可決し、早くても5月頃から利用できるのではないでしょうか。出費が激しい年度末に使えるのが理想的ですが、少し難しそうです。
今回も我が家は上限額まで購入する予定です。家計簿を見たくないほどに子供関係の支出が激しいです。家計は火の車です。

