MBSが保護者アンケートを採り上げました。

大阪市の『オンライン学習』についての調査で保護者186人の63%が否定的な回答
https://www.mbs.jp/news/kansainews/20210719/GE00039328.shtml

ニュースタイトルは「63%が否定的」としていますが、肯定的な回答をしたのは僅か7.6%のみでした。限られた保護者からの回答に過ぎませんが、大阪市のオンライン学習に対する冷めた見方を反映しています。

我が家も本当に振り回されました。調整に次ぐ調整や子供の相手に疲弊し、コロナ抜きで体調を崩してしまいました。経済面での影響も生じました。

アンケート項目や集計結果は、大阪市のオンライン授業についての保護者アンケートに掲載されています。

【項目4】オンライン授業になることをどのように知りましたか?

保護者のほぼ半分がニュースで、半分弱が学校からの連絡で知りました。

当ウェブサイトでの初報は4月19日午後5時過ぎでした。大阪市長会見を報じたニュースでオンライン授業への移行検討を知り、大慌てになったのを覚えています。

【コロナ・重要】大阪市立小中学校、緊急事態宣言後にオンライン授業へ移行

後日に学校の先生に訊いた所、学校も概要を把握したのは夕方のテレビニュース、市教委から連絡があったのは翌日以降だったそうです。

オンライン授業への移行に関する大騒動の裏側は、第37回開示請求 大阪市なんちゃってオンライン学習 に資料が掲載されています。内容が二転三転し、正式な内容が決定されたのは4月22日でした。市長発言から3日後、発言までに市教委内で揉まれた形跡はありません。

【項目5】4/26から5/23の間の、お子さんの学校の対応について当てはまるものをお選びください。

9割以上の学校が、市教委が定めた方針通りの授業時間を設定していました。小学校は1-2限自宅学習、中学校は午前中自宅学習とするものです。

こうした学校は授業時間が不足しました。市教委は夏休みの短縮・土曜授業の追加・6時間目授業の追加等を求めています。が、これに対する学校・保護者・児童生徒の不満は非常に強いでしょう。

多くの大阪市立小中学校は今日が終業式ですが、中には夏休みを短縮する学校もあるそうです。

一方、1割弱の学校は朝から登校し、通常授業ないしそれに近い授業を行っていました。こうした学校は一定の授業時間を確保できたでしょう。結果論となりますが、夏休みの短縮・土曜授業の追加・6時間目授業の追加等は最小限で済んだ筈です。

【項目6】4/26から5/23の間、普段学校に行っている時間帯、ご家庭ではどのように対応されましたか?

普段から保護者が在宅で過ごしている家庭は約1/3でした。大阪市の5歳児は保育所等と幼稚園が概ね半々(やや前者が多い)、そして小学校入学後に就労する家庭もある事から、約1/3という数字は肌感覚に即しています。

反対に残り2/3の家庭は大阪市の方針変更に強く振り回されました。学校に朝から登校させるか、授業が始まるまで在宅させるか、他の選択肢は無いか、大いに悩んだはずです。

学校は「朝から登校しても構いません」という方針でしたが、この言葉に甘えるのも気が引けました。学校に登校しても、どれだけ面倒を見て貰えるかも定かではありませんでした。

【項目9】同時双方向のオンライン授業はどの程度の頻度で行われましたか?

回答者の8.2%が「毎日行っていた」のに驚きました。双方向授業が実施出来るのは週1回に限られていたので、授業を撮影した映像を片方向でリアルタイムに配信していたのでしょうか。

また、31.5%が「なかった」と回答しています。オンライン授業を全く行えなかったのは、大阪市教委に大きな責任があります。「教育を放棄した」との誹りは免れません。

【項目10】今回のオンライン授業が感染対策に役立ちましたか?

「よかった」「とてもよかった」と回答したのは僅か10%でした。リスクが最も高い給食は学校で、相対的に低い授業はオンラインと対面の併用、何がしたかったのかが全く理解できません。

【項目11】今回のオンライン授業が子どもたちの学習に役立ちましたか?

「よかった」「とてもよかった」と回答した割合は、感染対策への評価より低い割合です。これは非常に深刻です。殆どの保護者は、オンライン授業が学習に役立たなかったと感じています。

私も同感です。殆ど何の準備も無くオンライン授業へ移行しても、学校も子供も親も準備ができていません。更に双方向通信が出来るのは週1回のみでした。大半の学校はプリント学習を中心とせざるを得なかったでしょう。

オンライン授業の実施にあたっては十分な準備が必要でした。コロナ禍以来、約1年の時間がありました。しかし大阪市教委は適切な対応を行わず、市長要請に振り回される形で泥縄式にオンライン授業へ移行しました。

大阪市教委はコロナ禍と子供の学びの継続を軽視していました。非常に重大な責任を生じますが、これに対する反省の弁は聞こえてきません。「無責任」です。

一保護者として大阪市教委や学校に早急に検討・対応して欲しいのは、「次に同様の事態が発生した際の準備」です。

学校でタブレットやPCに慣れ親しむ機会を意図的に作っているのでしょうか、各家庭の通信回線は把握できるているのでしょうか、全ての通信が通過する市教委内の回線帯域は増強できたのでしょうか、オンライン上で教員が指導する研修等は行っているのでしょうか。

コロナ禍はまだまだ続きます。多くの12歳以上がワクチン接種を行ったとしても、殆どの小学生は接種できない状態が続きます。学校内での感染拡大や一斉休校等により、休校が長期化する事態も懸念されます。少なくとも今秋は「台風休校」が発生しそうです。

大阪市教委は「子供の学びを止めない」対策を適切に運用できるのでしょうか。これまでの対応を見ていると、「不安」という言葉しかありません。

こんな大阪市で子育てするのが正しいのか、自問自答する事もあります。