新型コロナウイルス感染症の陽性者が日本で最も多い市町村とも言われる大阪市であっても、保育所等は常に開所し続けています。

一時的に登園自粛・家庭保育を依頼した期間もありますが、緊急事態宣言下であっても概ね通常通りに開所して保育を行っています。

共働きする家庭にとって、保育所等の開所は生命線です。もしも臨時休業等が行われてしまうと、仕事にならなくなってしまいます。

一方、開所を続ける保育所等は過酷な状況に直面しています。関西テレビが東桃谷幼児の園(大阪市生野区)へ取材し、詳しく取り上げています。

『仕事を辞めたい』との声も…コロナで負担増、低い給与水準、疲弊する保育の現場で今、保育士が望むこと

緊急事態宣言が出ている中、子どもの受け入れを続ける保育の現場。

新型コロナの影響で様々な感染対策をとって運営をしていますが、業務の負担が大きくなり、保育士をやめたいと思う人が増えているといいます。

保育の現場は今、何を望んでいるのか取材しました。

大阪市生野区にある民間の認可保育所・「東桃谷幼児の園」。

緊急事態宣言が出ている中、いつもと変わらず0歳から5歳まで134人の子どもを受け入れています。(以下省略)

https://www.ktv.jp/news/feature/202210531/

ここで働くのは、保育士のほか、栄養士や看護師、パートの職員あわせて39人。保育の合間に、子どもが触れるテーブルや棚、おもちゃなどをこまめに消毒しています。

お世話になっている保育所でも、子供が触る場所やおもちゃ等を小まめに消毒しています。おもちゃ等は複数組を準備し、使用日と消毒日を分けて対応しているそうです。先生が「消毒のし過ぎで手荒れが止まらない」と嘆いていました。

以前は、給食を子どもと一緒に食べていましたが、同じ空間で保育士がマスクを外すことを避けるためにやめました。

保育所等において感染が拡大する機会の一つは「給食」だと指摘されています。保育士が園児と同じテーブルで食事をしている際、拡散した飛沫等を通じて園児へ感染が広がってしまうケースがありました。

離れた所に置いたテーブルで食事をする、園児の食事中は見守るに留めて職員室等で食事をする、といった対応を行っている保育所等が多いと聞きます。

子ども同士の接触も極力減らすため、様々な年齢の子どもたちが一緒に遊ぶ「異年齢保育」もやめました。

異年齢保育を行うと、異なる年齢の園児にも感染が広がるリスクが高まります。感染せずとも濃厚接触と判定されてしまいますね。

一方、異年齢保育を重要視する保育所等もあります。一部の園では保護者の理解を得た上で、異年齢保育を継続しているそうです。

午後6時ごろ、保護者が続々と子どもを迎えにきました。その中には医療従事者もいます。

女の子を迎えに来たのは、コロナ患者を治療する病院に勤務する看護師の女性。夫も看護師のため、夫婦ともに休みがとれる状態ではありません。

お世話になっている保育所でも、医療機関で働いている方は少なくない様子です。直接は聞いていませんが、風の噂的に「○○さんは看護師」という話を聞きます。

中にはコロナ病床を有する医療機関で働いている方もいるそうです。「差別された」という話は聞きません。

保護者の中には、コロナの影響で仕事を失った人もいます。

例年ならば4月に全年齢の定員が充足しているのですが、今年は空きがありました。コロナの影響で入所希望者が減少しています。

この日の朝、登園してきた子ども2人に37.5℃以上の発熱がありました。
保育所は保護者に連絡し発熱した子どもは自宅に帰らせて、症状がおさまるまで登園を控えてもらいます。

お世話になっている保育所では、37.5度以上の発熱がある園児はコロナ禍以前から受け入れを行っていません。今はくしゃみ・咳・鼻水等の有無も申告する様になりました。

ただ、小さな子供に咳や鼻水は付きものなので、どこまで注意すべきかは悩ましいです。

これまで、この保育所では、職員1人と子ども1人の感染が確認されましたが、濃厚接触者は全員が陰性でした。

大阪市内では4月21日までに412施設(こども青少年局所管施設)で陽性者が発生しました(内保育施設等は316施設)。ざっと約半数の保育施設等で陽性者が発生している計算となります。

園長は今後クラスターが起きる不安は拭えないとして、大阪市でも早く、保育現場の職員にワクチン接種を進めて欲しいと訴えます。

ワクチンは保育士や学校の先生等へ早急に接種して欲しいですね。感染するリスクが高く、かつ休業した際に影響が大きい職種です。

一部の自治体では保育士等へ優先的に接種する方針を公表していますが、大阪市ではそうした動きはありません。

オンライン授業や保育の継続等により、学校や保育所等には非常に大きな負荷が掛かっています。ワクチン接種により、少しでも負担やリスクを軽減して欲しいです。

全国の保育士などの労働働合が、去年10月から今年1月に行った調査では、コロナの影響で業務の負担がさらに増す中、「いつも仕事を辞めたいと思っている」と答えた人が約12%と、過去10年間で最も高くなりました。

コロナの影響で保育士が疲れている様子は明らかです。通常業務に加え、消毒業務、そして感染しない様に気を遣い続ける業務は非常に大きな負荷が掛かっています。

十分な待遇も必要ですが、今は人員の追加配置が重要だと感じています。専ら消毒業務に従事する清掃職員が追加されれば、業務負荷は幾分楽になるでしょう。

保育所や保育士の悩みを深く取り上げた、よい特集です。ぜひ関西テレビのウェブサイトからニュース記事をご覧下さい。