お問い合わせから相談メールを頂きました。

内容: ○○県在住で大阪市内に職場があります。大阪市内の保育園に預けることは可能でしょうか?

「可能です」と言うのが結論です。

大阪市へも似た様な質問が多く寄せられているのか、「保育施設等利用にあたってのよくあるお問い合わせについて」に同趣旨の質疑応答が掲載されています。

淀川区民ではありませんが、淀川区内の保育施設等の利用申請はできますか?

できます。ただし、申込み受付方法については住所地のある区役所・自治体にご確認ください。また、住所地が大阪市以外の方におかれましては、保育施設等利用時に大阪市へ転入されるかどうかで利用調整の点数や提出書類が異なりますので、ご注意ください。なお、大阪市の利用申込期間内に、住所地のある自治体を経由して申込書類を提出していただく必要がありますので、なるべくお早めにお手続きください。

http://www.city.osaka.lg.jp/yodogawa/page/0000377266.html

淀川区となっていますが、大阪市内の他区でも同じ取扱をされています。お住まいの自治体を経由して、大阪市へ申し込む形となります。

また、自治体同市のやりとりとなるので、手続に相当の時間が掛かります。少なくとも1カ月程度は見ておいた方が良いでしょう。

但し、申込みを行っても入所できるか、通い続けられるかは別の話です。

市外在住者は基本点数が低くなる

大半の自治体と同じ様に、大阪市は保育所等への入所選考において利用調整基準に当てはめて決定しています。

保育を必要とする事由(就労・出産・介護・市外在住等)を基本とし、保育の代替手段や世帯の状況等でポイントを加減算した結果を利用して、入所の諾否を判定する仕組みです。

「就労」を理由に申しこむ場合は、父母それぞれに基本点数60点~100点が設定されます。しかし「市外在住(転入予定者を除く)」を理由とした場合、20点しか設定されません。

これは事実上、「大阪市民が入所しても空きがあれば、他自治体在住者も入所できる」という流れとなっています。あくまで保育所等は市民の為の施設であり、他自治体在住者の利用は例外的と言えます。

H29一斉入所での市外在住は51人?

では、実際に利用している児童は何人ぐらいいるのでしょうか。大阪市は新規入所者の大まかな点数(点数帯)を公開しています。

大阪市の保育所等利用待機児童数について(平成29年4月1日現在)
http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000398717.html

市外在住者の入所点数は50点以下でしょう。同資料によると、該当する入所者は51人いました。僅かな数字です。

年度途中からの入所者も少なくないので、大阪市全体では数百人の市外在住園児が在園していると推測されます。たとえば東淀川区で夜間保育園を運営している「豊新聖愛園」には、少なくない市外在住児童が在園しているそうです。

【読売新聞】「ルポこどもの居場所@夜の保育園」から夜間保育を考える

登園するのが大変

仮に入所できたとしても、通い続けるのは一苦労でしょう。大阪市に隣接している自治体(東大阪市や堺市等)の市境に住んでいるのであれば、隣町感覚で通えます。

しかし、他府県となると話は別です。毎日、子供と一緒に混み合う通勤電車に乗ったり、自動車の助手席に長時間に渡って座らせなければなりません。途中で「トイレ」と言い出したら目も当てられません。子供に大きな負担が掛かります。

また、お休みの日に行事が行われる場合、出勤する必要はないのに遠い大阪市内へ子供を送っていく必要があります。親が休みの日でも休めない場合があります。

地元の人間関係が作れない

地元の子育て世帯・子供と関係が気づけないのも大きなデメリットです。地元の保育所等・幼稚園へ通っていると、同世代の子供を通じて親同士のネットワークもできていきます。地元情報も得られます。

しかし、遠い保育所等へ通ってしまうと、親同士が話す機会や話題は限られてしまいます。また、卒園したら関係は完全に切れてしまいます。

結論「可能だがお勧めできない」

理論上は他府県在住であっても大阪市内の保育所等へ申込み・利用する事はできます。

しかし、利用調整基準で不利に扱われる上、遠距離の登園は子供に大きな負担が掛かります。地元での人間関係も築けません。

特別な事情(一時的な利用等)が無い限り、地元の保育所等を利用されるのが望ましいでしょう。