今朝2月17日に放送された「NHKあさイチ」にて、「保育の質」が特集されました。

保育士が子どもをひもで縛ったりたたいたりするなど、保育施設での事件が相次いでいます。待機児童解消のために保育所の増設が続く一方で、「保育の質」の低下が問題になっているのです。背景には、保育士が置かれた厳しい労働環境や低い待遇、保育中に事故が起きても原因を究明し教訓を生かすしくみが整っていないなどの問題があります。安心して子どもが預けられる保育施設にするには何が必要か考えます。

http://www1.nhk.or.jp/asaichi/2016/02/17/01.html

番組ウェブサイトに概要が掲載されていますが全てではありません。そこで、VTRや出演者コメント等をテキストに書き起こして掲載しました。なお、必要に応じて発言内容を省略・抜粋等しています。

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【ICレコーダー】
布団を頭から被せて嫌がらなかった?
暴れた?

5年前の保育施設での事故でわが子を亡くした親と保育施設とのやりとり
両親は頭から布団を被せて寝かせつけたことが原因ではないかと考えている。

【子供を亡くした母親】
寝なきゃ寝ないでいいじゃん
どうしてそこまでして寝かせるの?
なんで預けたんだろう(号泣)

【VTR】
保育士による虐待事件も相次いでいる
都内の保育施設で働く保育士が暴行の疑いで逮捕
子供の顔に粘着テープ、たたく蹴るなどした疑い

栃木県宇都宮市の保育施設(注:トイズ)では、高熱の女の子を放置して死亡させたとして、元施設長ら3人が逮捕された
寝かせつけるために乳児をひもで縛る行為が日常的に行われていたと見られている

保育士が置かれた厳しい労働環境

ぎりぎりの人数でやっている
体調は崩し、メンタル
結果、子供に対して優しくできない

保育の質の低下
行政は保育施設を増やすことばかり、質を担保する仕組みがない
子供の育ちがますます危機的な状況になると危惧している

【スタジオ】
たくさん大人がいて、どうしてこんな事が起きるのか?
ちゃんとした(保育士の)人数がいたのか?

2月は結果通知シーズン
預けるにあたって、選ぶ選択肢がない

待機児童問題
今年度末までの3年間で33万人分の受け皿を用意した
数を優先した結果、質が低下しているのではないかと危惧されている

仕事を探していた保育士さんがそんなにいっぱいいたとは思えない

一部の保育施設で事件・事故が起きている

【VTR】
自分の子供を預けている保育施設が不安になった保護者の声
横浜市在住、昨年、1歳の娘を預けたときの経験

認可保育園への入所を申し込んだが保留(定員超過)
第1希望の園は80人待ち

できるだけ早く職場復帰したい
最寄り駅に新設認可外保育施設を発見(定員10人)
英語・音楽に力

子供の表情が乏しく、様子がおかしい
帰宅中にうんともすんとも言わない
帰宅後15分してからようやくにこっとした
着替えさせていないことが多い、オムツの減りが遅い

給食がおかゆに温野菜という簡素なメニューだった
衝撃的だったのが、ケチャップライス・お漬物という組み合わせ

昼休みに保育施設を訪ねた
保育士が泣いている子供を強引に寝かせつけようとしている現場を目撃
「うるさい」と言いながら、片手で床に押し戻して寝かせていた
こんなところにはもう行かせられない

【スタジオ】
自分が見ていない間のことは気になる
ああいうシーンを見てしまうと、連れて行きにくい
恐ろしい、知らないところで何をやっているんだろ
預かってくれるところがあるだけでありがたい、というのが現状
急に変えるわけにはいかない

希望していた認可保育園とは別の保育園でたまたま空きが出て、転園できた
いろんな不安を保育施設に訴えたが、解消されなかった
もやもやした気分が残り、横浜市に相談した
同じ保育施設に関する相談が複数きていた

認可外保育施設では栄養についての具体的な基準はなく、行政は指導できない
保育施設は事前に保護者へメニューを見せ、納得して契約していただいている
今ではサービスとしておかずを増やしている(従来はプラス100円)

不適切な保育を行っていても、相応の証拠や事実がない限り、行政は営業時間中に踏み込めない
保育施設は「保護者のとらえ方の問題」「暴力行為はしていない」「全て認可外保育施設指導監督基準を満たしている」「監査でも指摘がない」としている。

栄養については指導項目に入れるべきでは?

保育施設に関して個別に相談を受けるケースはかなりある
ショックは大きい
保護者のとらえ方、子供が訴えているだけとされてしまう
認可外保育施設の保育士配置基準は認可保育園に準ずる基準でやって下さいとされているが、細かく指導できていない
指摘を受けても文章回答が専ら、監査をしても改善されないまま営業している施設が多々ある。

【VTR】
さいたま市の夫婦
5年前、保育施設での事故で1歳7ヶ月の娘を亡くした
定員30名の民間保育施設、さいたま市が認定して補助金も入っていた

夕方4時過ぎに電話
救急搬送された病院に駆けつけたとき、既に身体は冷たかった
うつぶせ寝の状態で発見された
外傷無し、死因不詳

さいたま市への報告書
子供に変わった様子はなく、通常通りの保育が行われていた

保育士から保護者が聞き取り
うつぶせ寝のまま、布団等3枚を頭まで被せた
他の子供を起こさせないため

国は仰向けに寝かせる、睡眠中はきめ細かく観察する様に指導

遠くから見る程度、近くから呼吸や顔を確認してはいない
救急隊が駆けつけたとき、既に死後硬直が始まっていた
死亡後一定の時間は気づかれず、放置されていた

担当保育士・施設の実質的経営者を刑事告訴したが、不起訴処分
うつぶせ寝との因果関係が立証できない

【スタジオ】
昼寝中の安全管理が不十分だったという点は、さいたま市は認めている
事故を起こした施設は「事故報告書の通りです、それ以上のコメントは控える」とのこと

年間20人弱の子供が保育施設で死亡している
殆どが睡眠中の赤ちゃん(0-1歳児)
多くがうつぶせ寝
仰向け寝・呼吸チェック等が徹底されていない

殆どのケースでは原告敗訴

カメラをつけるべきでは?

うつぶせ寝の危険性を認識していない保育士も多い
泣いている子供を寝かせる技術がない
空いているスペースがない

さいたま市は全て認可外保育施設の呼吸チェックを義務づけ、抜き打ちでの立ち入り調査
ルール違反が41%から18%へ減少

若い保育士が多く、ベテラン保育士が少ない

【VTR】
0歳児の担当は大変
子供にあたっている人もいる

若い保育士が育つ環境がないことを心配している
オムツの履かせ方・ミルクの飲ませ方は保育園で全て教えないとできない(学校でも教えているが経験がない)
教える人がいない
研修する時間がない、作ろうともしない

【スタジオ】
保育士不足は全国的な問題
育ち合う風土が作りにくい

(次は後半部分)