5月17日に執行された大阪市における特別区の設置についての投票は、賛成694,844票に対して反対705,585票となり、反対票が10,741票上回りました。
反対多数という結果となり、特別区は設置されないこととなりました。
昨晩はNHKの開票速報をずっと見ていました。
60%台での開票速報では賛成が上回っていましたが、反対が多数だと推測される地域の開票が殆ど進んでおらず、反対が上回るのではないかと見ていました。
最終的にはその通りの結果となりました。
では、どういった要因によってこうした結果となったのでしょうか。
公開されているデータや出口調査等を基に検証してみます。
今回(次回があるかは未定)は各区毎の賛成・反対票を分析してみます。
大阪市における特別区の設置についての投票の開票結果 区名 投票率 賛成 反対 賛成-反対 賛成率 大阪市計 66.83% 694,844 705,585 -10,741 49.62% 北区 65.07% 36,019 25,001 11,018 59.03% 都島区 69.33% 30,135 26,671 3,464 53.05% 福島区 68.64% 21,586 17,267 4,319 55.56% 此花区 67.20% 17,597 18,872 -1,275 48.25% 中央区 62.88% 24,336 20,657 3,679 54.09% 西区 64.62% 26,094 19,160 6,934 57.66% 港区 67.39% 21,410 23,351 -1,941 47.83% 大正区 68.87% 16,646 21,211 -4,565 43.97% 天王寺区 71.78% 18,327 20,815 -2,488 46.82% 浪速区 52.82% 13,563 12,189 1,374 52.67% 西淀川区 68.82% 23,670 28,337 -4,667 45.51% 淀川区 63.42% 48,566 38,903 9,663 55.52% 東淀川区 62.39% 43,388 41,340 2,048 51.21% 東成区 68.02% 20,689 20,667 22 50.03% 生野区 65.35% 25,396 29,190 -3,794 46.52% 旭区 69.12% 23,145 28,048 -4,903 45.21% 城東区 70.29% 46,728 45,784 944 50.51% 鶴見区 69.69% 29,859 29,752 107 50.09% 阿倍野区 73.97% 30,434 32,446 -2,012 48.40% 住之江区 69.71% 33,184 36,880 -3,696 47.36% 住吉区 68.75% 38,623 45,950 -7,327 45.67% 東住吉区 68.05% 34,079 37,322 -3,243 47.73% 平野区 66.56% 46,072 56,959 -10,887 44.72% 西成区 60.34% 25,298 28,813 -3,515 46.75%
特別区設置住民投票速報・開票速報より作成
賛否が拮抗した結果となった一方、各区毎の賛否を見ると地域差が生じています。
賛成率が高いのは北区・西区・福島区等です。
市内中心部にあって企業事務所・高層マンション等が数多く立ち並ぶ地域が多くなっています。
一方、賛成率が低いのは大正区・平野区・旭区等です。
市内周縁部にあって古くからの工場や住居が集中している地域です。
賛成と反対のどちらが多かったかを地図にすると一目瞭然です。
(よみうりテレビの報道番組より)
中心部・北部と周縁部・南部で見事に分かれています。
新北区では全ての区で賛成票が上回っています。
新中央区・新東区では3区で賛成票・2区で反対票が上回って拮抗した形です。
新湾岸区・新南区では全ての区で反対票が賛成票を上回っています。
大阪市中心部から切り離される形となってしまう新湾岸区・新南区で根強い反対があった様子です。
財政調整交付制度によって財政は担保される形ではあっても、やはり福祉水準の低下への危惧が強かったのでしょう。
高齢者にとって敬老パスは死活問題なのでしょうか(持ってないので実感がないのです)。
また、新中央区の地域に含まれながら反対票が多かったのは天王寺区と西成区です。
天王寺区・西成区は、天王寺駅・阿部野橋駅周辺地域が新中央区と新南区(阿倍野区)で分断されてしまう事への抵抗感が根強かったと聞きました。
逆に賛成票が上回った地域は企業事務所が数多くあり、都心回帰等によって子育て世帯を中心とする人口流入が盛んな地域と重なっています。
経済発展や子育て世帯等への福祉の充実を願う気持ちが賛成票へ集まったのかもしれません。
地域によって財政水準・区割りに対する見解の相違があったのだと推測される結果となりました。
次回は各区毎の年齢構成等を基準に考察してみます。
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