昨日、埼玉県蕨市にて80代男性が2人を人質として蕨郵便局に立てこもりましたが、8時間後に緊急逮捕されました。

31日午後、埼玉県蕨市の郵便局に86歳の容疑者が拳銃を持って立てこもりましたが、先ほど警察の捜査員が突入し人質強要処罰法違反の疑いで逮捕しました。中に取り残されていた女性は午後9時すぎに男の隙を見て自ら逃げ出して無事でした。(以下省略)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231031/k10014243021000.html

蕨郵便局は同市の中心部にあります。周囲には住宅街が広がっており、その中には学校や保育所等もありました。

数多くの子供が日中を過ごしている施設の近隣でこうした重大犯罪が発生した場合、学校・幼稚園・保育所等はどの様な対応を行ったのでしょうか。昨日の報道等から各施設の対応を集約しました。

施設対応
戸田幼稚園園児を2階ホールへ避難させ、保護者へ安全を確認した上でのお迎えを要請した。
戸田市立戸田東小学校児童を校内待機させた。
えなぎ保育園(蕨郵便局から約100m)待機命令を受けた14時半頃から園を締め切り、園児を窓の少ないホールにて待機させた。保護者に「迎えに来ないで」と連絡した。待機命令が解除された23時半から24時にかけて園児全員が降園・帰宅した。保育士が帰宅したのは24時半~25時頃だった。
蕨市立小中学校(10校)児童生徒を下校させず、校内待機させた。後に中学校や現場から遠い小学校は集団下校、一部の小学校は保護者迎えを要請した。
戸田市立小中学校(18校)児童生徒を下校させず、校内待機させた。後に集団下校させた。
蕨市立中央小学校(蕨郵便局から約200m)児童300人強が警察車両にて公共施設へ移動、保護者と合流した。

大半の施設が子供達を建物内で待機させました。判断が分かれたのは「保護者のお迎え」です。これには理由があります(後述)。

病院に近い戸田幼稚園は保護者へ早急なお迎えを要請しました。一方、立てこもった郵便局から100mほどしか離れていないえなぎ保育園は、「迎えに来ないで」と要請しました。全く逆の判断となりました。

戸田幼稚園は原則として毎日14時に個人送迎もしくはバスにて降園します。事件が発生したのと概ね同時刻です。既に多くの保護者がお迎えに来ており、そのまま引き渡したと考えられます。

しかしながら送迎バスを発車させる事はできなかったのでしょう。普段はバス登降園している園児の保護者に対し、お迎えを要請したのだと推測できます。

気掛かりな点もあります。幼稚園は「安全を確認した上で」のお迎えをお願いしました。が、保護者はどうやって安全を確認すれば良かったのでしょうか。目端が利く保護者はテレビ報道等で状況を把握出来ますが、全ての保護者がそうではありません。

自治体や園が責任を持って安全を判断し、その上でお迎えを要請するのが望ましかったのでは無いでしょうか。

反対に郵便局から目と鼻の先にあるえなぎ保育園(地域型保育)は「迎えに来ないで」と保護者に要請しました。保育園は事件現場から極めて近く、規制範囲内にあったのでしょう。仮に迎えに行っても、保育園に辿り着けない可能性がありました。

園児がどのタイミングで保護者と合流できたかは報じられていません。ただ、200メートル離れた小学校からは児童が警察車両にて移動した事を踏まえると、保育園児も保育士等と共に警察車両等にて一定の場所へ移動し、そこで保護者と合流した可能性が考えられます。

えなぎ保育園には立てこもり直後から待機命令がありました。郵便局に余りに近く(容疑者が爆発物を有している可能性もあった)、警察車両で迎えに行くのも難しかったのでしょう。待機命令が解除された23時半以降から順次降園しました。

いずれの学校・保育所・幼稚園でも最も重きを置いたのは、「子供や保護者の身の安全」でした。原則として施設内で待機して情報等を集め、安全な方法で子供を保護者へ引き渡しています。

保護者に期待されるのは、学校等からの連絡に基づいた行動でしょう。

保護者がすぐに迎えに行きたくても、学校等は「待った」を掛けました。五月雨式に保護者が迎えに行っても、学校は対応に苦慮してしまいます。個別に引き渡すのに手間が掛かるのに加え、東日本大震災では引き渡した児童が津波等に巻き込まれる事案が相次ぎました。

ここ十数年の間に、事件や災害等が発生した祭の対応はかなり整備されました(それでも「おや」と思う対応は少なくありませんが)。

学校等は子供を護ってくれます。親は落ち着いてお茶を飲み、今晩の夕ご飯を考え、それから行動しても遅くないでしょう。