前大阪市会議長たる自民党市議が新設保育所に介入したと疑われる行為を行うとは、驚きのニュースです。

認可保育所の定員減、地元市議の事務所で協議
2014年07月08日 15時18分

 民間事業者が大阪市阿倍野区で11月に開設予定の認可保育所の受け入れ定員を巡り、市の担当部局が地元市議の事務所で関係者らと協議し、120人の予定だった定員を80人に減らしていたことがわかった。

 橋下市長は「行政の公平性を疑われ、不適切」と担当部局に厳重注意し、定員を120人に戻すよう指示した。

 市こども青少年局などによると、昨年10月、同区で受け入れ定員を80人以上とする条件で認可保育所の運営者を公募。同12月、広島市内の保育所経営会社が選ばれ、定員は120人に決まった。

 ところが、地元の複数の保育所が「園児を奪われる可能性がある」と反発。このため、同区選出の木下吉信市議(自民)の仲介で、会社と地元保育所、同局の担当者が今年5月と6月、木下市議の事務所で協議。定員を11月の開設時は80人、来年4月から120人とすることで合意したという。

 これに対し、橋下市長は6月下旬、「定員減は市の待機児童対策に逆行している」と批判。変更の経緯についても、「議員事務所で調整、意思決定すれば、市議の要望で変更したと受け取られかねない」として、同局に厳重注意した。

 木下市議は読売新聞の取材に、「話し合いの場所を提供しただけ。(自分は)何も発言していない」と説明した。同局は「木下市議から(定員減の)要望はなかったが、市民に誤解を招く恐れがあり、不適切だった」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/20140708-OYT1T50045.html

該当する新設保育所は「あい保育園昭和町(仮称)」です。
阿倍野区昭和町2丁目に新設が予定されています。
運営会社は広島市に本社がある株式会社アイグランです。

木下吉信議員のホームページはこちらです。
父・祖父も共に市議・議長を務めた三世議員です。
本件に関するコメント等はホームページにに掲載されていません。

同社のHPでは定員120名と記載されています。
今年1月に作成・2月に追記した記事では既に定員120名という旨を指摘しており、その後の5月・6月の協議にて開設当初の定員が変更されたのでしょう。

阿倍野区は未就学児に対して保育所数・定員が圧倒的に足りない地域の一つです(詳細はこちら)。
大阪市内では中央区・西区と並ぶ入所激戦区です。
木下市議は保育所への入所を待つ保護者・園児よりも、園児を奪われる危険を感じた保育所経営者の利益を優先するのでしょうか。
新規参入する株式会社立保育所の定員を圧縮させようとした、地元保育所の姿勢は恐ろしいです。
また、こうした市議の要望に易々と応じたこども青少年局の態度も不可思議です。

相次ぐ保育所の新設には既存保育所からの反発が強く、特に株式会社立保育所の新設を渋っているという報道を見聞きします。
本件はその一端だと推測されます。

以前から疑問に感じていたのですが、大阪市内有数の保育所入所激戦区たる阿倍野区では平成27年4月の保育所新設予定はありません(一覧表はこちら)。
市内で入所が厳しい他区ではほぼ例外なく新設保育所の公募が行われていました。
平成26年11月に保育所が新設されるとはいえ、多くの保育所を新設し続けている他区との違いは顕著でした。
こうした地元市議の介入と疑われる行為は、保育所の新設・入所に関する様々な憶測を呼びかねないでしょう。