あかつき保育園(認可保育所、福岡市東区)で働く8人の保育士が、長期間にわたって多くの園児に虐待行為を繰り返していた事が明らかになりました。

保育士8人、虐待や暴言 計13件、福岡市が改善勧告 東区の保育所

 福岡市は15日、認可保育所「あかつき保育園」(同市東区)で、保育士が園児に「ブタ」「ばか」などと暴言を浴びせたり、押し入れに閉じ込めたりする虐待などが13件あったとして、児童福祉法などに基づき園を運営する社会福祉法人「北斗会」に改善勧告を出した。再発防止策の早急な実施や保護者への説明を求めている。

 市によると2016~18年、園児をトイレに連れて行かずに、尿を漏らすと叱る▽長時間正座させる▽壁をたたいて驚かせて笑う▽口から出した給食を押し込む▽食べる早さが遅いと給食を減らす-など、13件の行為を不適切と認定した。

 少なくとも女性保育士8人(20~40代)が関与し、ベテラン保育士によるものが多かった。8人は市の聴取に対し「先輩がやっているから普通の行為だと勘違いしてしまう空気があった」「厳しいしつけを求める園長の圧力があった」などと答えたという。

 この園を巡っては17年12月、市に情報提供があり、保育士4人が17年度に園児の口にセロハンテープを貼ったり、怖い仮面を使って叱ったりするなど4件の不適切行為が発覚。市は再発防止を指導したが、その後も再び「行為が続いている」との情報が寄せられた。市は今年1月11日から園に特別指導監査を行い、保育士ら約50人に聞き取り調査をするなどしていた。

 保育士は停職1カ月などの処分が決まった。同園は園児254人に対し保育士29人(1月末現在)で国の配置基準ぎりぎりという。新しく就任した石橋理恵園長は「保育士の負担がストレスとなり、こうした事態を招いた。管理体制を強化したい」と話した。

https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/487247/

福岡市の認可保育園で、少なくとも8人の保育士が、園児に暴言を吐いたり、押し入れに閉じ込めたりするなどの不適切な行為を繰り返していたことが分かり、福岡市は、保育園を運営する社会福祉法人に改善勧告を行いました。

保育園は、15日午後7時から保護者説明会を開き、経緯などを説明しました。

不適切な行為が確認されたのは、福岡市東区の社会福祉法人「北斗会」が運営する市の認可保育園、「あかつき保育園」です。

福岡市によりますと、この保育園では、少なくとも8人の保育士が平成28年度から今年度にかけ、園児に対し、▼「バカ」「ブタ」などと呼んで正座させたほか、▼園児が吐き出した給食を再び口に入れたり、▼押し入れに閉じ込めたりするなど、不適切な行為を13件繰り返していたということです。

去年、外部からの情報提供があり、市が先月上旬から特別指導監査を行った結果、不適切な行為が確認されたということです。

福岡市は、児童福祉法などに基づき、15日付けで運営する「北斗会」に対し改善勧告を行い、▼不適切な行為をした保育士や管理監督者の処分、それに、▼再発防止策の策定などを求めました。

「あかつき保育園」では、これまでもたびたび保育士が不適切な行為を行っているという情報が市に寄せられていて、平成29年度には、保育士4人が、▼園児の口にセロハンテープを貼ったり、▼倉庫に閉じ込めたりするなどの行為が確認され、市から指導を受けていました。

運営する社会福祉法人に改善勧告が出されたことについて「あかつき保育園」は、「園長が多忙のため後日、コメントしたい」と話しています。

保育園の入り口には保護者向けの貼り紙が貼られ、「多大なご心配をおかけし、深くお詫び申し上げます」と書かれていました。

「あかつき保育園」では、一連の事態を受けて先月26日に新しい園長が就任していて、15日午後7時から保護者説明会を開き、経緯などを説明しました。

https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20190215/0003658.html

あかつき保育園は福岡市東区若宮一丁目13-16にあります。最寄駅は香椎線土井駅となります。中心部から多多良川を隔てた、住宅街が広がる地域にあります。

同園を運営しているのは社会福祉法人「北斗会」です。他にまどか保育園・あかつき小規模保育園を運営しています。

不祥事が発覚するまでは、柿迫恒夫氏が理事長を務めていました。

実は同氏が園長を務めていた2000年頃に、簿外処理を行っていたと指摘されています。

7千万円を簿外処理 福岡の保育園
2006年04月18日12時16分

 福岡市東区の私立「あかつき保育園」で、柿迫恒夫園長(74)が保育料など約7000万円を正規の会計に入れないまま、保育園の土地取得や職員の時間外手当に充てる簿外処理をしていたことが18日、わかった。市の監査で判明した。園長は市の指導に従い、一部を保育園側に返還した。私的流用は見つからなかったという。

 市によると、園長は園庭をつくるため、89年と99年の2回に分けて計約800平方メートルの土地を購入。その費用として、99~03年度に市に無届けで入園させた定員外の園児約90人分の保育料などを充てたという。国の指導で、保育料を土地購入に用いることは禁じられている。園長は市に対し、「入園希望者が増え、施設を広げる必要があった」などと話しているという。

https://60950771.at.webry.info/200604/article_4.html

その後、園長職には柿迫裕里子氏が就任しました。寄せられた情報によると、柿迫恒夫氏と裕里子氏は夫婦だそうです。

今年1月に特別指導監査を実施する切っ掛けとなったのは、西日本新聞に寄せられた内部告発でした。

園児に暴言?しつけ逸脱…見えにくい「不適切保育」 背景に過酷労働も

2018年12月23日 06時00分

 「しつけとは言えないような厳しい保育が行われています」。福岡市内のある認可保育所の内情について、元保育士の女性から特命取材班にメッセージが寄せられた。保育士が園児を怒鳴ることは日常的にあり、たたく場面もあったという。取材すると、保育現場の厳しい現状が見えてきた。

 保育所で昨年10月に録音したという音声を聴いた。園児たちのかわいい声に混じり、たびたび女性の保育士が怒鳴っているのが分かる。「おしっこ出る」と訴える園児に「行けばいいやん。なんで泣くと」と声を荒らげ、「なんでここで漏らしたと」と問い詰める。

 「口にセロハンテープを貼ったり、部屋の隙間に追いやって怒鳴ったりするのを見て耐えられなかった」。元保育士の女性は振り返る。先輩保育士に訴えると「ここでやっていきたいなら黙っていた方がいい」と言われたという。女性は昨年春から勤務したが、1年足らずで退職。「自分は何もできず、子どもを助けてあげられなかった」

 福岡市指導監査課によると、この保育所を巡って昨年12月、「問題のある言葉遣いや不適切な保育が行われている」という趣旨の通報があったという。同課は保育所の園長に事実確認して報告するよう要請。一部事実だったことを認めたため、再発防止に努めるよう口頭で指導した。

 保育所の理事長は、取材に「あざをつくるような暴力や身体的な拘束はなかった。力でねじ伏せるような保育士はいない」と暴力行為を否定。「行きすぎた点があったかもしれないが、現在は改善した」と話した上で、こう繰り返した。「保育士の人手不足で現場に余裕がなかった」

 取材班は、この保育所で働く別の女性保育士にも会った。市の指導後、暴言はなくなったが、「スケジュール通りにしないといけないプレッシャーがあり、私自身も園児に怒鳴ってしまいました」と打ち明けた。

https://www.nishinippon.co.jp/nnp/anatoku/article/475134/

福岡市が平成29年12月に指導を行ったにも関わらず、その後も不適切な保育が続けられていました。

また、同園には平成30年4月18日までに別の監査が行われていましたが、何ら問題が無いとの結果でした。杜撰な監査と指摘されても仕方ありません。

保育所等の監査結果 – ふくおか子ども情報
http://www.city.fukuoka.lg.jp/kodomo/files/Document_1896_file.pdf

福岡市による指導・監査を無視し続けたあかつき保育園と、実効性のある指導等を行わなかった福岡市、双方に大きな原因があるでしょう。

事件発覚後の1月26日、柿迫恒夫理事長と裕里子園長が辞任し、石橋理恵園長が就任しました(法人理事長も兼務)。

石橋氏は同法人が運営するまどか保育園の園長を務めていました。柿迫夫妻と関係のある方でしょうか。

同氏は「保育士の負担がストレスとなり、こうした事態を招いた。管理体制を強化したい」と話しています。

しかし、保育士の業務負担を緩和するのは園長等の仕事です。自らが適切な仕事をせず、責任を保育士へ転嫁していました。

虐待行為を行った保育士は停職1カ月等の処分が行われたそうです。「トカゲのしっぽ切り」としか言い様がありません。

根本的な原因は、元園長の管理能力の欠如です。保育士の処分より先に、元園長への処分が求められます。

(追記:現在の園長である石橋氏は、騒動発覚後に新たに就任した方でした。お詫びして訂正します。)

2/20追記:福岡市ウェブサイトに改善勧告が掲載

福岡市ウェブサイトにて、改善勧告の概要が掲載されました。

私立認可保育所に対する児童福祉法等に基づく改善勧告の実施について

社会福祉法人北斗会が運営する「あかつき保育園」に対し,本年1月11日から 特別指導監査を行った結果,同園において,入所児童に対する不適切な保育が行われていたことが判明しました。

このため,当該法人に対し,本日,児童福祉法及び社会福祉法に基づく改善勧告を行いましたので,報告します。

1法人・施設の概要

(1)法人・施設名 社会福祉法人北斗会あかつき保育園
(2)所在地 福岡市東区若宮1丁目13番16号
(3)理事長及び施設長 石橋理恵(平成31年1月26日~)
(4)入所定員 310名(※平成31年2月1日現在:254名在園)
(5)法人設立年月日 昭和53年10月12日
(6)施設認可年月日 昭和55年4月1日

2事案の概要

当該保育園については,平成29年12月に,保育士により入所児童への不適切な保育が行われているとの情報提供が本市にあったことから,平成30年1月に本市が同園に対し確認を指示した。同年2月に,同園から本市に対し不適切な保育の実施等について報告があったため,本市は同園に対し,今後の再発防止について指導した。

しかしながら,同園において不適切な保育が行われているとの情報提供があったことなどにより,本年1月11日から当該保育園に対し特別指導監査を実施した。

その結果, 平成30年2月に本市に報告された内容の他に,平成28年度に2件,平成29年度に6件,平成30年度に5件の入所児童に対する不適切な保育が行われていたことが判明した。なお,平成31年1月26日から 当該保育園の理事長・園長は交代し,新体制となっている。

3改善勧告の内容

(1)根拠法令
児童福祉法第46条第3項及び社会福祉法第56条第4項
(2)勧告の内容
①不適切な保育を行った職員及び管理監督者に対し,法人として責任の明確化を図ること。
②不適切な保育が二度と発生しないよう,再発防止策を早急に策定し,実施すること。
③保護者に十分な説明を行い,その信頼回復を行うこと。

4福岡市の今後の対応

今後概ね1年間,2か月ごとに,再発防止策の実施状況等を当該保育園から報告させるとともに,本市職員が予告なしに同園を訪問し,改善状況等の確認を行う。(以下省略)

http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/67030/1/TF_sirituninkahoikuen_kaizenkankoku.pdf?20190215153247

あかつき保育園では長年に渡って不適切な保育、いや、保育士による虐待が行われ続けてきました。

虐待行為を黙認ないし適切な指導を怠った、柿迫恒夫元理事長と裕里子元園長の責任は非常に重大です。