大阪市の中心部は待機児童問題が深刻です。が、保育所等が相次いで新設され、徐々に入所しやすくなってきています。

保育所等を卒園した児童は、次に小学校へ進学します。こうした地域の小中学校は児童数が急増・過密化し、日に日に深刻さが増しています。

こうした問題に対応すべく、大阪市は「児童急増対策プロジェクトチーム」を設置して対策を行うとしています。

大阪市の中心部で児童が急増し教室が不足する小学校が相次いでいる問題で、校舎の増築では対応しきれない市立扇町小(北区)と市立西船場小(西区)について、市が校区が重なる中之島エリア(北区)に平成34年度以降、小中一貫校を新設することを検討していることが29日、分かった。市の「児童急増対策プロジェクトチーム」の同日の会議で市教委側が提示した。今後、具体的な計画案を作成する。

市の推計によると、扇町小学校区の29年の児童数は457人だが、10年後には939人、20年後には1022人に増加。一方の西船場小学校区も29年は610人だが、10年後には1082人、20年後には1014人となる見込みだ。そのため両校の校区が重なる旧市立扇町高校(22年に閉校)の跡地に34年度以降、小中一貫校を新設し、児童の受け皿とすることが検討されている。

大阪市では、高層マンションの建設ラッシュなどで児童が急増している北、西、中央の3区の中心部で教室や運動場の不足が深刻となっており、市は昨年から市教委や区長らを含めたプロジェクトチームを設置し、対応策を検討してきた。(以下省略)

https://www.sankei.com/west/news/180330/wst1803300015-n1.html

第3回大阪市内中心部児童急増対策プロジェクトチーム会議で配付された資料が公表されています。具体的な状況や対策は、大阪市内中心部児童急増対策PT(第3回資料)に掲載されています。

この資料から、各校毎の状況や対策を簡単にまとめてみました。

扇町小学校(北区)
・2017年の児童数は457人、2027年は939人、2040年には1,069人(31クラス、過大規模校)となる見通し。
・校区たる中之島地区に小学校(もと扇町高校、もしくは交換地)を設置すべき。

堀川小学校(北区)
・2017年の児童数は750人、2027年は1,020人(ピーク、6教室不足)、2040年には868人となる見通し。
・教室不足は学校敷地内で対応する予定。
・ピーク時の1人あたり運動場面積は4-5平方メートルとなる。

開平小学校(中央区)
・2017年の児童数は245人、2027年は835人(10年で3倍増)、2040年には911人となる見通し。
・敷地内で仮設校舎、6階建鉄骨校舎を建築する。
・中之島公園を仮設運動場として利用したい。
・南高校第2グラウンド跡地(長堀橋駅北)に新設校、もしくは分校を設置したい。

中央小学校(中央区)
・2017年の児童数は1,007人、2027年は1,224人(ピーク)、2040年には1,018人となる見通し。
・南高校跡地に分校等を設置する。

南大江小学校(中央区)
・2017年の児童数は587人、2027年は919人(ピーク、8教室不足)、2040年には759人となる見通し。
・教室不足は学校敷地内で対応する予定。
・ピーク時の1人あたり運動場面積は5-7平方メートルとなる。

堀江小学校(西区)
・2017年の児童数は1,197人、2027年は1,782人(ピーク)、2040年には1,499人となる見通し。
・西高校跡地に分校等を設置する。

日吉小学校(西区)
・2017年の児童数は924人、2027年は1,245人(ピーク、4教室不足)、2040年には935人となる見通し。
・教室不足は学校敷地内で対応する予定。
・ピーク時の1人あたり運動場面積は6-8平方メートルとなる。

西船場小学校(西区)
・2017年の児童数は610人、2027年は1,082人(ピーク)、2040年には1,001人となる見通し。
・北区中之島地域(調整地区)から登校している子供が少なくない
・中之島地区に小学校(もと扇町高校、もしくは交換地)を設置すべき。

本田小学校(西区)
・2017年の児童数は643人、2027年は846人(ピーク、6教室不足)、2040年には651人となる見通し。
・教室不足は学校敷地内で対応する予定。
・ピーク時の1人あたり運動場面積は6-8平方メートルとなる。

花乃井中学校(西区)

・西船場、明治、本田小学校の卒業生が進学する
・中之島地区に新設する小学校を、小中一貫校として整備したい。
・敷地内に校舎を増築し、花乃井公園をグラウンドとして利用したい。

既に児童数が多い小学校が多く、今後10年間に更に増加する小学校が少なくありません。開平小学校の児童数は10年後には3倍増となる見通しです。

都心部の小学校はただでさえ敷地が狭い学校が多いです。狭い敷地に校舎を増築すると、手狭な運動場が更に狭くなってしまいます。

大阪市の小学生の運動能力が振るわないのは、運動場や公園が非常に狭いのと無縁ではないでしょう。身体をしっかり動かせる場所が少なすぎます。

こうした地域に住んでいる、もしくは住もうと考えている子育て世帯の方は、保育所等のみでなく小中学校の状況も気に掛けて下さい。