大阪市では保育所・地域型保育事業と同様、大阪市では認定こども園の開設も進めています。今回は平成29年4月1日に開設する幼保連携型認定こども園の設置・運営予定者が発表されました。
8行政区で募集を行っていました。しかし、阿倍野区で応募した事業者が途中で辞退し、選定に至ったのは平野区のみでした。暗澹たる結果です。
行政区 予定者 予定場所 予定日 淀川区 応募法人なし 東淀川区 城東区 鶴見区 阿倍野区 住之江区 住吉区 平野区 学校法人喜連学園 平野区喜連六丁目 平成29年4月1日 http://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000352922.html より作成
平野区で選ばれた喜連学園は喜連幼稚園を運営しています。同幼稚園が幼保連携型認定こども園へと移行します。
選定会議では下記の意見が出ました。
・財務面について、無理のない事業計画となっている。
・これまで地域とともに運営し、地域に貢献してきた取り組みが評価できる。
・こどもへの関わり方、こどもが楽しく遊ぶ環境を整備されている点や認定こども園開園に向けての職員研修体制が評価でき、質の高い保育の提供が期待できる。
・乳児保育の実施にあたり、人員や避難訓練などを踏まえて体制整備を具体的に検討されたい。
・施設の定員を大幅に増やす計画となっていることから、園庭での活動の際の職員配置を含め、その他、施設の規模に応じ安全への配慮及び職員間の意思統一を図られたい。
・乳児保育室について、安全面・衛生面に対する対応を行われたい。
・保護者会については、各世帯の事情やニーズに応じて対応されたい。
・給食調理業務委託の実施に伴い、具体的なマニュアルを策定されたい。
・多様な手段により保護者からの意見や要望を集めることのできる体制を整えられたい。
同区は就学前児童数が年々減少しています。一方で保育所や幼稚園は多くあり、いずれの施設も園児募集に注力していると推測されます。幼保連携型認定こども園への移行はその一手段と言えるでしょう。
保育所と認定こども園の公募地域は殆ど重複していない
応募が無かった行政区へは無視できない影響を及ぼすでしょう。同じく平成29年度に開所する保育所の募集地域と比べると一目瞭然です。保育所と認定こども園の募集地域で重複しているのは城東区・鶴見区のみです。それ以外の地域は全て保育所・認定こども園のいずれかの公募となっています。
城東区・鶴見区は幼稚園も保育所も多い地域です。施設種別は何であれ、0-2https://yodokikaku.net/?page_id=3561歳児の保育を行える場所を作り出したいという意向がうかがえます。
保育所が殆ど新設されない市南部
一方、市南部は相対的に幼稚園が多くて保育所が少ない地域です。不思議な事にここ数年、市南部地域で保育所は殆ど公募・新設されていません。一方、地域型保育事業や認定こども園の募集は継続的に行われています。
南部地域に保育所が十分にあるわけではありません。特に阿倍野区・住吉区は保育所が市中心部並みに不足しており、多くの保護者が困っているでしょう。地図で見ても一目瞭然です。こうした地域で保育所の公募を殆ど行わず、地域型保育事業・認定こども園の設置ばかりを進めている印象です。
こうした地域で保育所に入れなくて困っている方には極めて切実な問題でしょう。市中心部・北部との著しい違いを感じます。
応募が殆どなかった背景は?
8行政区で募集を行ったにも関わらず1行政区でしか決まらなかったのは衝撃的な結果と言えるでしょう。公募を実施した是非すら問われかねない状況です。
こうした結果となった最大の理由は「幼稚園にとってメリットがない、デメリットが多い」という点です。特に収入減・資格を持った職員の採用・夏休みや預かり保育・施設の拡充に対する懸念が強い様子です。各施設の判断ではなく、制度面に起因する問題です。
制度設計自体に課題があるので、解消するのは容易ではないでしょう。今後も幼稚園から認定こども園へ移行する施設は多くないと推測されます。
幼稚園内への地域型保育事業所の設置が主流に?
一方、一部の幼稚園では「幼稚園内への地域型保育事業の設置」を検討しているそうです。こうした設置形態を大阪市はこれまで認めてきませんでした。しかし、待機児童解消・地域型保育事業の卒園児の進路の観点等から、今後は可能とする方針を打ち出しています。(詳細はこちら)。
近日中に平成29年4月1日までに開所する地域型保育事業者の発表が行われる見通しです。その中に、幾つかの幼稚園運営法人の名前が存在するでしょう。