「イクメン」という言葉、狙い過ぎた造語に聞こえます。
個人的には嫌いです。

それはさておき、男性と育児の関わり方はなかなか難しいものがあります。
育児に積極的に取り組みたいと感じても、障壁が余りに高いのが実態です。

日本には「イクメン」ほとんどいない… 育児を“国家プロジェクト”と考えよ
2015.5.17 17:13

 まず押さえておきたいことは、日本には「イクメン」がほとんどいない、という事実です。育児を積極的に行うイクメンという言葉は、政府の積極的な広報もあって、誰もが知るようになりました。しかしその内実はお寒いのが現状です。男女共同参画白書のまとめによると、6歳未満児のいる夫の家事・育児関連時間は、日本では1日当たり1時間。欧米の先進国では多くが3時間超です。日本男性は家事や育児をほぼしていない、といってもいいでしょう。

 原因のひとつは、男性の育児休業や時短勤務をめぐる体制の不備です。たとえ制度があっても、休業の負荷を企業全体で分けあう体制がなく、その人の職場にそのしわ寄せがきてしまう。だから仕事を押しつけられた同僚は「イクメンはいいよな」という恨み言をこぼすことになります。

 日本の企業は長時間共にいることで培われるチームワークを重視するため、会社以外の都合を持ち出されることを嫌います。たとえ非効率でも「みんなが顔を揃える会議」や「四半期ごとの飲みニケーション」が重視され、そこでは「家庭の事情」は邪魔でしかありません。

(以下省略)
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/150517/ecd1505171713002-n1.htm

上記コラムでイクメンが殆どいない原因の一つとして、男性の育児休業や時短勤務をめぐる体制の不備を指摘しています。
しかし、これは実態と異なっていると感じます。
育児休業や時短勤務を論じる前に、まずは残業ありきの労働時間の長さが指摘されるべきでしょう。
育児に関わりたいと感じても、帰宅する時間には既に子供達が寝ていたら何もできません。
せめて週の半分程度でも、子供達と夕食を共に食べられる時間に帰宅できれば状況は変わります。

子育て中の家庭において、貢献度の高い(家庭内での)仕事とは「子供の相手をする」事です。
予防接種の日程調整や保育所の日報管理が貢献度の高い仕事とは思えません。
逆に父親1人で風呂に入れてくれれば、母親が1人で風呂に浸かれます。
常日頃から子供の相手をして疲労困憊な母親にとり、父親1人で子供の相手をして母親が1人で気楽に過ごせる時間ほど貴重なものはありません。

いくら可愛いとはいえ、子供と長時間べったり過ごすと疲れます。
父親が残業続きや単身赴任等で不在の時間が長くて頼れなければ、子供から離れられる時間はありません。
育児ノイローゼ等にも繋がりかねません。

ただ、子育て中の年齢層の社員が企業で充実した戦力として扱われ、結果的に仕事が集中してしまう状況も理解できます。
就職氷河期に就職した年代に該当し、人数が不足している企業が多いとも聞きます。
とは言っても父親が家庭からいなければ育児の負担が母親に集中するのは当然であり、育児に割く時間が短くなる共働きともなれば出生数を抑制する動機付けともなるでしょう。

あくまで私見ですが。少子化対策の鍵は「経済的安定」と「子育て・家事労働時間の確保」ではないでしょうか。
結婚や子育てに経済的な不安があり、また子育てや家事労働に十分な時間を避けなければ、子供を産み育てるのも難しい話です。