令和7年8月に開催された令和7年第10回大阪市教育委員会会議にて、浪速区内の小中学校の大規模な適正配置(統廃合)が決定しました。
栄小学校(令和7年度の児童数204人)・大国小学校(同101人)・敷津小学校(同56人)の3小学校を統合、同時に難波中学校(314人)と木津中学校(112人)を統合します。実施時期は令和14年4月を予定しています。
https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/cmsfiles/contents/0000660/660047/gian54.55_hosoku.pdf
浪速区は強い特徴がある地域です。区北部にはなんば駅を中心とする繁華街が、区東部や南西部には市営住宅群が、それ以外の地域は住宅街やワンルームマンションが広がっています。最近は民泊が急増しており、外国人居住者も増加しています。
当初は難波元町小学校(同)を含んだ4小学校での適正配置を検討していました。しかしながら適正配置後の小学校を設置できるだけの敷地面積があるのは栄小学校だけでした。
しかしながら、栄小学校は難波中学校区内にあり、他3小学校は木津中学校区内にあります。両中学校の生徒数に著しい偏りが生じると予想され、合わせて両中学校も統合する事となりました。
大阪市内中心部でこれだけの規模での適正配置が行われるのは異例です。記憶にありません。著しい少子化が生じている地域と言えます。
一方、これだけの規模の適正配置を実施する事への不安もあります。適正配置後に児童・生徒数が想定外に増加する恐れはないのでしょうか。
懸念が現実化した小学校もあります。同じ浪速区内にある塩草立葉小学校です。2014年に塩草小学校と立葉小学校が統合しました。しかし、わずか3年後に校舎新築計画が浮上、その後には第2グラウンドも整備されました。
統廃合後わずか3年の17年、児童数増により、校庭に4階建ての校舎の新設計画が持ち上がったことでした。学校周辺には数年来、マンションが次々に建っています。(中略)
去年2月、塩草立葉小学校の増築工事が着工されました。もともと小さい校庭がさらに狭くなったため、第2校庭として近くの難波特別支援学校の校庭が使われるとされていましたが、ほとんど使われていません。校庭が狭いために運動会が開けず、去年は隣の難波中学校を借りて行われました。
大阪市が小中学校の児童・生徒数や未就学児を推計するにあたり、基礎となるのは現在の子供の人数です。これに数年の変化率が今後も続くと仮定した上で、今後の児童・生徒数を推計するのが専らです。
しかしながら、重要な要素が抜け落ちています。周辺で新築されるファミリー向けの大型マンションです。
例えば200世帯が居住するファミリー向けマンションが新築されるとします。各世帯に子供が2人ずついるとすると、このマンションだけで子供400人が暮らします。
年齢はばらけるとしても、20年で割ると各学年20人の子供が存在する事となります。小学校では3クラスの児童数に相当します。空き教室が急激に減ってしまいます。こうしたマンションが同時期に複数箇所で新築されると、小中学校で収容できる児童・生徒数をあっという間に超過してしまいます。
浪速区は都心へのアクセスが非常に良い地域です。大型マンションを建設できる、まとまった土地も存在します。適正配置後に児童・生徒数が増加し、教室数や運動場が不足する事態が起きないかと心配しています。
今後も大阪市内各地で小中学校の適正配置が進むと見込まれています。対象となる地域では住民説明会が行われます。そこで「学区内で大型マンションが建設される予定は把握しているのか、把握していないならばその理由を、把握しているならば規模と推計での扱いは?」と訊ねて下さい。
恐らくは「把握していない」「把握しているが規模等は分からない、子育て世帯の居住数も不明。推計から除外している。」といった返事が返ってくるでしょう。
小中学校の適正配置は必要です。しかし、児童・生徒数が正しく推計されているのが前提です。この数字に誤りがあれば、適正配置を進める事実を欠きます。

