自身が勤務するゆたか保育園(埼玉県松伏町)に放火した疑いで保育士が逮捕されました。「人間関係に嫌気が差した」と供述しています。
埼玉県松伏町松伏の「ゆたか保育園」で18日夜に床の一部が焼ける火災があり、県警吉川署が19日発表した。園児や職員らはおらず、けが人はいなかった。署によると、保育園の防犯カメラに不審な人物が写っており、放火の可能性もあるとみて詳しく調べる。
18日午後10時半ごろ「火災報知機が鳴っていて、建物内がオレンジ色に見える」と近くに住む20代女性から119番通報があった。床が焼けたのは、1階の職員室と2階の図書室。園内の出入り口は全て施錠されていたという。
https://www.sankei.com/article/20251019-6NUG2NY5IRITBE2ZAECOOP7B7Y/
埼玉県松伏町の保育園で18日夜、床の一部が焼けた火災で、吉川署は19日、勤務先の保育園を放火しようとしたとして、建造物侵入と非現住建造物等放火未遂の疑いで、同県杉戸町木野川、保育士、今成沙弥香容疑者(31)を逮捕した。同署によると「人間関係に嫌気がさした」と供述、容疑を認めている。この保育園には10年以上勤務していたという。
火災は、同町松伏の「ゆたか保育園」で18日午後10時半ごろ発生。床が焼けたのは、1階の職員室と2階の図書室で、当時園児や職員らはおらず、けが人はいなかった。
園内の出入り口は全て施錠されていたほか、保育園の防犯カメラに不審な人物が写っており、県警が捜査していた。
https://www.sankei.com/article/20251020-EGAR7Y63LJPPPCW5LOEK5UN4EI/
放火された「ゆたか保育園」は埼玉県松伏町松伏431-1にあります。古利根川と江戸川に挟まれた中洲地帯にあり、最寄の鉄道駅からは3km以上も離れています。鉄道を利用して都心部へ通勤する方より、地域やその周辺へ自動車や自転車で通勤する世帯が多いのではと感じました。
人間関係に嫌気がさしたという理由で保育園を放火するのは言語道断です。
園児・職員等に被害が生じなかったのは不幸中の幸いでしたが、複数階に火が広まりました。焦げ臭さはなかなか消えません。職員室では重要書類が焼失した可能性もあります。
保育園で働く保育士が人間関係に悩むという話は耳にします。その職場でも人間関係は悩みの種です。ただ、保育士は不足気味なので、転職によって人間関係をリセットするケースが少なくありません。
一方、放火された「ゆたか保育園」で起きていたかもしれない「変化」も感じました。「規模の急拡大」です。
同園は平成17年に定員が90名から100名に、更に平成22年には165名へと急激に増えました。また、平成24年と平成27年には系列園が設置されました。
今成容疑者は同園に10年以上勤務しているとの事なので、養成校を卒業して20歳で就職したと考えられます。2014年(平成26年)頃となります。
当日は定員の急増や系列園の新設が相次いでいました。園児と同様、働く職員の数が急激に増えた筈です。こうした状況では、法人本部や母体園の管理部門が重要となります。適正に対応できていたのでしょうか。
但し、それらは10年程度前の話です。2025年に発生した放火事件とは直接の関係はない筈です。が、火が広まったのは1階職員室と2階図書室です。火が広がる経路を考えると、職員室で放火した可能性が高いです。
嫌気がさした放火するとは、よほど思い悩んでいたか、それとも深い深い恨みがあったかのどちらだと考えられます。
「嫌気がさした人間関係」ので職員室に放火したのであれば、その人間関係は職員室で生じたのでしょう。管理職や同僚保育士等との人間トラブルの有無が焦点となります。
巻き込まれた園児や保護者はたまったものではありません。現場検証が終了して安全が確認されるまでは臨時休業、その後も園活動に支障が生じ続けます。容疑者に関する噂話も広がります。
この時期の放火は、来年度以降の園児募集にも影響が生じかねません。どうしても保護者には「保育士が放火するほどの深刻な人間関係トラブルが起きている保育園はちょっと・・・・」という心理が働きます。積極的に同園を選びにくいです。
放火自体は決して許されません。ただ、そこに至るまでの間、周囲は保育士の異変を感じなかったのでしょうか。

